2014 Fiscal Year Annual Research Report
大腸ポリポーシスにおける日本人型MUTYH遺伝子異常の実態とその検出法の確立
Project/Area Number |
23591977
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀧 景子 東京工業大学, 資源化学研究所, 産学官連携研究員 (50332284)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | MUTYH / FAP / 大腸ポリポーシス / 家族性大腸腺腫症 / ミスマッチ修復 / 大腸癌 / MYH |
Outline of Annual Research Achievements |
多発大腸腺腫の臨床所見から家族性大腸腺腫症(FAP)と診断されながら、生殖系列にAPC変異が同定されない症例(APC変異(-))が、30%程度存在する。欧米では、このような症例にMUTYH変異が報告されている。日本人では、MUTYH変異による多発大腸腺腫についての知見が不足しているため、30個以上の腺腫を有しながら生殖系列にAPC 変異(-)の14例について解析を行った。APC遺伝子の体細胞モザイク変異を鑑別した上で、MUTYH変異についてPCR-ダイレクトシーケンス法、エクソン単位の欠失等の有無をMLPA法により調べた。APCの体細胞モザイク変異は3例で確認された(21%)。残りの11例中、MUTYH変異については、1例で2カ所のミスセンス変異(P18LとG25D)を同定したものの同一アリル上にあり、明らかな病的変異を両アリルに有する症例はなかった。また、大規模な欠失等も認めなかった。一方、IVS10-2A>Gヘテロ接合体は2例あった(18%, この他にAPC体細胞モザイク症例中にも1例)。このバリアントは欠失タンパク質を産生するため、罹患リスクを検討した。その結果、70歳以上で癌罹患歴のない115人のうち5例に、このヘテロ接合体が認められた。APC変異(-)群との比較から、罹患リスクはオッズ比4.89であったが、95%信頼区間は0.83-28.8となり、有意差は認められなかった。一方、APC変異(+)のFAP 25症例中(同一家系除く)には1例も認められなかった。十分な症例数がないものの、仮に生殖系列APC変異の有無それぞれについて、IVS10-2A>Gヘテロ接合体の出現率を比較すると、APC変異(-)では5%の有意水準でコントロール群と異なり、APC変異(+)群ではコントロール群と有意差を認めなかった。今後、症例をさらに蓄積し、罹患リスクへの関与を検証する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A Case of a Child with an APC Pathogenic Mutation, Aberrant Expression of Splice Variants and Positive Family History of FAP2014
Author(s)
Keiko Taki, Yasuyoshi Sato, Yuri Sato, Yuumi Ashihara, Akiko Chino, Masahiro Igarashi, Koichiro Sato, Tomoyuki Kitagawa, Iruru Maetani, Chieko Nemoto, Kiyoto Nasuno, Takashi Sekine and Masami Arai
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Journal Title
Japanese Journal of Clinical Oncology
Volume: 44
Pages: 602-606
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Book] 癌の遺伝医療2015
Author(s)
新井正美ほか(宮口健, 三木義男, 福嶋義光, 芦原有美, 西村誠一郎, 岩瀬晴子, ・・・,瀧景子, ・・)
Total Pages
256
Publisher
南江堂