2012 Fiscal Year Research-status Report
ROS産生からみたCD133陽性腫瘍細胞の癌幹細胞性と大腸がん治療への基盤研究
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23591978
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
早田 浩明 千葉県がんセンター(研究所), 医療局・消化器外科, 研究員 (90261940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下里 修 千葉県がんセンター(研究所), 研究局・発がん研究グループ, 上席研究員 (30344063)
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Keywords | 大腸がん / 癌性幹細胞 / CD133 / ROS産生 |
Research Abstract |
近年、がんの難治性を説明しうる「癌幹細胞仮説」が提唱され、当該細胞を標的とした新規治療開発を目指した基盤研究を行っている。平成24年度は、大腸がん培養細胞株およびヒト大腸がん臨床検体を用いて、CD133とPI3キナーゼ経路との機能的連携の有無を検討した。C-末端部チロシン残基をフェニルアラニンに置換した変異型CD133蛋白質あるいは野生型CD133遺伝子をヒト大腸がんSW480細胞株に導入したところ、CD133のチロシンリン酸化は当該細胞のPI3キナーゼ活性化を誘導する可能性が示唆された。そこで、大腸がん臨床検体からCD133陽性あるいは陰性がん細胞を分離してAKTのリン酸化レベルを検討したところ、CD133陽性細胞でAKTリン酸化が上昇していた。 つづいて、CD133のC末端部と会合し、PI3キナーゼの活性化を制御するアダプター分子を酵母Two-hybridシステムを用いて探索したところ、複数の候補蛋白質が同定された。それらの中から細胞膜への局在性を根拠として蛋白質チロシン脱リン酸化酵素PTPRKに着目して、大腸がんにおけるその機能を解析した。PTPRKは、CD133と細胞膜上で共局在し、その細胞内のフォスファターゼドメインを介してCD133のC末端部と直接会合し、CD133を直接脱リン酸化することを見出した。また、PTPRKによるCD133の脱リン酸化はCD133の機能を抑制的に制御することを見出した。ヒト大腸がん組織におけるPTPRKの発現はDukes分類による病期の進展と逆相関する傾向が見られ、PTPRK低発現の患者は予後不良であったことから、PTPRKは大腸がんのがん抑制遺伝子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はヒト大腸がん組織を用いて実施することを主眼としている。したがって、臨床材料の蓄積が重要であり、これには一定の期間を要する。また、がん組織を提供していただいてからの期間が短いために臨床情報の顕著な変化はほとんど出ていない。現在までの臨床検体の収集状況は概ね順調であると考え、検体数を増やしながら、当該患者のフォローアップを確実にすることで、一定の成果が得られると想定している。 本年度に予定していた大腸がん細胞株を用いたin vitro解析については、CD133からPI3キナーゼへのシグナル経路を見出し、癌幹細胞におけるその機能を明らかにすることができた。また、CD133シグナルを調節する分子を新規に発見することにつながった。したがって、現在の達成度は概ね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ヒト大腸がん細胞のin vitro解析:CD133からPI3キナーゼ経路へのアダプター分子の同定(担当:早田) CD133のチロシンリン酸化はその機能を活性化するために重要であることが解明されたが、これを触媒する酵素は依然として明らかになっていない。そこで、この反応を触媒する酵素の探索から、その分子機序の解明に進めていきたい。また、前年度で得られたCD133と会合する候補蛋白質について、前年度と同様の手法により、大腸がんにおける機能を検討する。さらに、これらの分子機序を阻害する機能性小分子を探索する。 2.ヒト大腸がん細胞のin vivo解析(担当:下里) これまでに得られた知見に基づいて、幹細胞マーカー(EpCAM、CD44、CD133)発現レベルとROS産生レベルを指標に、各分画のヒト大腸がん初代細胞をセルソーターで精製する。当該細胞を免疫不全マウス(NOD-SCIDマウスなど)の皮下あるいは盲腸壁に、細胞数を変化させて移植したときの生着率を検討する。さらに、CD133の機能を抑制しうる機能性小分子が得られた場合には、その治療効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は、学会参加や論文投稿などの成果発表に関する費用を除いた全てを実験用試薬やプラスチック製品などの消耗品の購入に充当する。また、次年度も1式が50万円を上回る物品を購入する予定はない。 次年度使用予定の研究費が生じているが、国際学会への参加費・渡航費に充てていた予算の一部を試薬購入に振り替えたために生じたと考える。当該研究費は次年度の試薬購入に充当する予定である。 なお、本研究には代表者を含めて2名の参画がある。エフォートの配分を考慮して、研究費の7割を研究代表者が、3割を分担研究者が使用する予定である。
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Research Products
(5 results)