2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591980
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 基信 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00568959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久倉 勝治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60550168)
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Keywords | 脾臓 / 肝細胞癌 / 免疫 / 発癌 / 癌発育 |
Research Abstract |
肝細胞癌の多くは慢性肝炎、肝硬変を背景に多段階の発癌様式を示すことが明らかになってきた。現在の肝炎治療の主体として抗ウイルス療法が用いられているが、効果的な発癌予防策はないのが現状である。我々はこれまでに血小板増殖因子であるトロンボポエチンおよびそれによって増加した血小板による肝線維化抑制効果を発見し報告してきた。肝硬変患者に脾臓摘出を行うことで血小板増加状態を維持し、肝機能改善効果が得られることが臨床においても報告されているが、脾臓摘出が肝細胞癌に与える長期的な治療成績は不明である。本研究は脾臓摘出に伴う血小板増加作用による肝細胞癌の発生、進展の抑制効果を検討することである。 平成24年度までに、脾臓摘出による肝癌抑制効果を検討するため、原発性肝癌モデルの作成を試みた。腫瘍免疫を検討する必要があるためSCIDマウスを用いることができず、C57BL/6マウスの肝左葉に同マウス由来肝癌細胞株であるHepa1-6を100万個局所注入したが、肝癌の生着はみられず原発性肝癌モデルの作成はできなかった。またSCIDマウスにヒト肝癌細胞を移植する実験を行ったが生着率が悪く、多くの腫瘍移植マウスを安定して作成することが難しかった。平成25年度はマウスの脾臓にマウス由来肝癌を移植し1週間後脾臓温存した対照群と、脾臓摘出に近い群として脾門部を結紮した群を比較検討した。四塩化炭素投与を継続し3週間後に肝臓を摘出した。その結果、脾門部の血流を遮断することにより肝細胞癌の増殖は有意に抑制された。脾臓摘出による肝細胞癌の予防効果は認められなかったが、肝細胞癌が発症した後に脾臓摘出を行うことは腫瘍抑制に有効である可能性が示唆された。
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