2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591982
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高村 博之 金沢大学, 大学病院, 助教 (40377396)
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Keywords | Zfp57 |
Research Abstract |
胚性幹細胞(ES細胞)の研究から,ES細胞特異的な転写因子としてZfp57遺伝子が同定された.この遺伝子はStat3やOct3/4のES細胞特異的な転写因子の下流に存在するとともに,Nanogの支配を受けることを見出した.ES細胞でこの遺伝子を過剰発現させると,足場非依存性増殖が亢進するとともに,ヌードマウスに移植したさいには造腫瘍が亢進することが判明した.また,ヒト線維芽細胞由来の培養細胞でもこの遺伝子を過剰発現させると,足場非依存性増殖が亢進し,悪性転化の可能性が示唆された.以上より,Zfp57遺伝子が,ヒト「がん細胞」の増殖にも深く関わっている可能性を見出し,ヒト由来がん培養細胞を用いてZfp57遺伝子の機能を解析した.Zfp57は,Nanogの支配を受けるとともに,imprinting遺伝子のIGF2の loss of imprinting を介してAKTをリン酸化し,がん細胞の増殖にも深く関わっていることを見出した.また,ヌードマウスの血行性転移モデルを用いて解析した結果,Zfp57を過剰発現した場合にのみ血行性転移(肺転移)が形成された.一方,Zfp57を過剰発現させてもIGF2をノックダウンすると,血行性転移は形成されなかった.以上より,Zfp57はimprinting遺伝子のIGF2の loss of imprinting を介して,血行性転移能獲得にも深く関わっていることを見出した.ヒトがんの臨床検体では,食道癌,胃癌,大腸癌,膵癌,乳癌などでZfp57の過剰発現を認め,特に大腸癌肝転移巣やリンパ節転移巣で発現がきわめて亢進していた.以上より,Zfp57遺伝子は,ES細胞特異的な転写因子であるだけでなく,ヒトがんにおいても増殖と血行性転移能獲得の重要な遺伝子として機能していることが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)