2011 Fiscal Year Research-status Report
形質転換を図った肝前駆細胞移植による肝不全治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
23591987
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
水本 雅己 (財)先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (80567868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 隆道 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70456789)
森 章 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60324646)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 肝細胞移植 / 肝不全治療 / BMP-7 / 遺伝子導入 / TGF β |
Research Abstract |
肝前駆細胞の増殖能,多分化能を利用して、形質導入により成熟肝細胞への分化、増殖を誘導し、肝硬変症における肝線維化を抑制することで、肝不全の治療法を新規開発することが本研究の目的である。肝硬変症における肝不全の障害肝から産生される炎症性サイトカインや諸種の因子が、肝前駆細胞を成熟肝細胞ではなく細胆管増生や線維芽細胞などへ分化を異常に誘導することに着眼した。肝不全の治療として肝前駆細胞移植を行うにあたり、移植肝前駆細胞への遺伝子導入により、ドナー肝前駆細胞の肝細胞への分化増殖を誘導し、線維化を抑制することにより、治療の創出をめざす。標的分子として、TGFβ阻害物質であるBMP-7を選択した。京都大学医学部口腔外科、別所和久教授よりhBMP-7発現pCAGGSプラスミドベクター供与を受けた。hBMP-7発現ベクターを精製し、制限酵素処理により、精度を確認した。マウス胎仔肝細胞およびマウス胎仔線維芽細胞を採取、培養し、hBMP-7プラスミドベクターをリポフェクタミン法にて遺伝子導入した。プラスミド:リポフェクタミンの割合を1:2~1:5まで割り振り、コントロール群も含めてDay7まで観察したところ、hBMP-7 遺伝子導入群で形態学的に紡錘状細胞が多くなる傾向を示した。Day 4にmRNAを回収し、RT-PCR法を用いてhBMP-7遺伝子導入群で BMP7の発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BMP-7遺伝子発現プラスミドベクターの作成のためにC57BL/6マウスの肝臓、腎臓、骨髄よりmRNAを抽出し、RT-PCR法によりBMP-7のcDNAの合成を行ったが、全長のBMP7-cDNAは1296bpと分子量が大きく、高精度の全長のCDNAの作成が困難であったた。最終的に、京都大学医学部口腔外科、別所和久教授よりhBMP-7発現pCAGGSプラスミドベクター供与を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
h-BMP7の産生能の高いマウス胎仔肝細胞およびマウス胎仔線維芽細胞を細胞移植するために、hBMP-7を遺伝子導入したマウス胎仔肝細胞およびマウス胎仔線維芽細胞から安定発現細胞株を樹立する。ジフテリアトキシンによる急性肝障害モデル、四塩化炭素による肝硬変マウスモデルを作成しており、これらにhBMP-7を遺伝子導入したマウス胎仔肝細胞およびマウス胎仔線維芽細胞の細胞移植が、肝不全の改善に寄与するかについて検討を行っている。肝硬変マウスにおける肝切除後に、hBMP-7を遺伝子導入細胞を細胞移植し、非細胞移植群、非遺伝子導入細胞移植群との間の、生存率を比較する。ジフテリアトキシンによる急性肝障害モデルにおいても、同様にhBMP-7を遺伝子導入細胞を細胞移植し、非細胞移植群、非遺伝子導入細胞移植群との間の、生存率を比較する。移植細胞がどのような細胞形態をとるか、レシピエント肝の肝繊維化の状態をコントロール群と比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
胎仔肝細胞および胎仔線維芽細胞の採取、プラスミド精製、遺伝子導入、ジフテリアトキシンによる急性肝障害モデル、四塩化炭素による肝硬変マウスモデルを作成のために試薬およびマウスを購入する。
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