2012 Fiscal Year Research-status Report
超過冷却プログラムによるヒト小型肝細胞バンクとハイブリットマウス量産に向けた研究
Project/Area Number |
23591993
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30347174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
中村 幸雄 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50516648)
川本 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70404605)
目黒 誠 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50448601)
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Keywords | 自己組織化 / 生体機能利用 / 移植 / 再生医療 / 応用動物 |
Research Abstract |
ハイブリットキメラ動物の作製に必要なドナー細胞としてヒト小型肝細胞は正常の肝組織が必要である。正常な肝機能を維持したドナー細胞採取の適切な条件として、日常臨床で施行している前焼灼を行う肝切除術については細胞機能への影響が危惧される。そのことをラットを用いて証明した。前焼灼による熱のドナー肝臓への影響は、肝再生を遅延させることが判明した。これには、IL-6やケモカインの関与が考えられ、マルチプレックス血清測定により明らかになった。ステロイド投与は、この肝再生を修飾するが、少量のステロイド投与は肝再生の遅延を正常化させた。同時にIL-6やケモカインも通常の肝再生にみられる反応と同様な現象が見られたことを発表した。次に、良好な肝機能を保有するドナー細胞の評価として、生体内での評価法を開発した。従来のアシアロシンチグラフィーからピクセル情報を抽出し、継時的な肝集積値と心集積値の差を時間軸で積分する自動解析ソフトを考案した。従来の肝機能評価に比べて、統計学的な有意差を認めないものの、肝線維化の予測評価としては、高いAUC値を示すことが判明した。このことは、より高次機能を発現するドナー細胞を効率よく採取できるものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに原著論文として、2011年度には3編、2012年度にも3編の欧文論文を発表しており、研究成果としては期待した以上の結果ではある。実際のドナー細胞採取には、当初の予定より解決すべき課題が多く、日常臨床の中でこれらの課題を解決しながら研究を推進している最中である。これらの課題を解決するたびに論文化しているため、本題の研究の進行が滞っている点でおおむね順調な進展との評価になる。
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Strategy for Future Research Activity |
肝幹細胞の移植による、病変肝への影響を確認中である。現代病でもあり、最近の肝切除症例においても増加しているNASH/NAFLD肝への肝幹細胞移植の影響を確認する必要がある。具体的には、CDAA食によるNASH/NAFLD肝を誘導させたラットに対して、肝幹細胞移植を行い、生体内での影響を確認する。これまでの研究では、肝幹細胞移植によってNASH/NAFLDで誘導されるアポトーシスが形態学的にも分子生物学的にも抑制され、増殖関連の遺伝子発現やタンパク発現が誘導される結果、肝再生が促進されることを証明しつつある。この結果をまとめて、報告を予定している。また、ヒトドナー細胞とキメラ化動物の作成も着手する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に残額が発生したのは、研究の遂行に当たり臨床上の新たな知見を得たため論文化して発表した結果、動物を使用した基礎実験が当初の予定通りには進めることができないことに起因しております。H25年度にはH24年度の残額を含めまして、実験試薬や論文校正費、投稿費、掲載費、学術集会での旅費に使用予定である。
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Research Products
(10 results)