2012 Fiscal Year Research-status Report
膵癌のMesopancreasへの進展に対する臓器発生と筋膜の構造からみた戦略
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23592005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 裕久 金沢大学, 大学病院, 講師 (80272970)
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Keywords | 膵頭部癌 / Mesopancreatoduodenum / 腎筋膜前葉 / 後腹膜腔 / リンパ管 / 神経線維 |
Research Abstract |
本年度は、術前MDCT画像所見と組織学的所見を対比し、膵頭部癌のRPを検討した。2003年から2012年までに当科で膵頭十二指腸切除を施行した膵頭部癌70例を対象とした。造影MDCTでのRP所見を、膵実質に留まるものをCTRP0、膵実質を越えるがIVCとの間に低吸収域の間隙がみられるものをCTRP1、IVCとの境界が不明瞭となっているものをCTRP2とした。組織学的所見は、膵実質内に留まるものをpRP0、膵実質を越えるがIVCには及んでいないものをpRP1、IVCへの浸潤があるものをpRP2とした。更にCTRP2群の画像所見における浸潤様式を、癌巣が広く接しているwidely abutment type(A type)、癌巣から突出した部分が接しているbudding type(B type)、癌巣が広く接して且つ一部が突出しているcombination type(C type)の3つに分け、組織学的に検討した。その結果、CTRP0は11例、CTRP1は43例、CTRP2は16例であった。CTRP0は全てpRP0と診断されていた。CTRP1では、pRP2(過小評価)はなかったがpRP0(過大評価)は9例(21%)にみられた。CTRP2では、pRP2(正診)は1例のみで、pRP0はなかったもののpRP1(過大評価)が15例(94%)であった。CTRP2の16例の画像所見における浸潤様式では、A typeが6例、B typeが8例、C typeが2例であり、これらのうち組織学的なIVC浸潤はC typeに1例のみみられた。以上より、膵頭部癌における後方組織への浸潤の評価は、MDCTでは過大評価となっているものが多いこと、MDCTでIVCへの浸潤が疑われたCTRP2症例は16例であったが、C typeの1例にのみに実際に浸潤がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵癌手術切除材料を用いた後方浸潤と癒合筋膜との関係の研究は症例を重ねており、予定どおり順調に進んでいる。正常組織の解析は、3例の標本で解析を進めていおり、膵の脂肪変性と自己融解があり、膵後面の癒合筋膜が非常にわかりにくい症例もあるため、更に症例を重ねる必要がある。正常組織の解析において、検体のホルマリン固定時間が長いなどの理由で、免疫染色の染色性などの点で検体の善し悪しにばらつきがあり、予定よりも多くの検体を集める必要が生じたため、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り正常組織での解析を症例を重ねて進め、更に膵癌症例における進展の様式と比較しつつ、研究の総括を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検体プレパラートで、リンパ管、神経線維、結合織に対して免疫染色を行うこと、更にコンピュータでその分布を癌症例の癌進展と照らし合わせて視覚的にわかりやすく解析し、投稿するために研究費を使用する計画である。
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