2013 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌のMesopancreasへの進展に対する臓器発生と筋膜の構造からみた戦略
Project/Area Number |
23592005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 裕久 金沢大学, 大学病院, 講師 (80272970)
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Keywords | mesopancreatoduodenum / 膵頭部癌 / 膵頭神経叢 / 上腸間膜動脈神経叢 / 下膵十二指腸動脈 |
Research Abstract |
膵頭の間膜として支配血管やリンパ管が走行するMesopancreasがどの範囲に分布するのかを解明することを重点目標とした。 腸間膜の発生から、膵頭の間膜は上腸間膜動脈(SMA)を基軸として横行結腸間膜のほぼ対側に位置し、その中心となる動脈は下膵十二指腸動脈(IPDA)であると理論付け、更にそれは十二指腸の間膜でもあるとの考えから、改めてmeso-pancreatoduodenum(meso-pd)と命名した。meso-pdの中心はIPDAであるが、SMAからの分岐形態を123例で検討した。第1空腸枝と共通幹をなすもの(type A)64%、IPDAが単独分岐するもの(type B)29%、後下膵十二指腸動脈(PIPDA)と前下膵十二指腸動脈(AIPDA)がそれぞれ別分岐するもの(type C)7%にみられた。SMAからの分岐方向は時計回りに12時方向を起点として、type Aは148度、type Bは187度、type Cは182度であった。この結果より、meso-pdはSMAの背側~左側寄りから生じ膵鈎部方向に至っており、膵頭部癌に対して多くの施設で行われているSMA周囲右半周郭清では、かなりの部分のmeso-pdが残存し、根治性を欠いていると考えられた。 また、Cadaverにおいて膵頭神経叢~SMA神経叢の組織学的検討を行った。その結果、1.神経叢は非常に脂肪織に富む組織であり神経線維束は疎らにみられるのみである、2.SMA神経叢では同心円状・年輪状に膠原線維・弾性線維がみられ、神経線維束やリンパ管はこれらの線維組織の近傍を寄り添うように走行する、3.SMA神経叢は小腸末梢方向から連続してSMA起始部方向に向かうが、末梢から起始部方向へと次第に太くなっている、4.膵頭神経叢はSMA神経叢の最外層へと続いて移行していくようである、といったことか明らかとなった。
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