2011 Fiscal Year Research-status Report
GalectinおよびAMFによる膵癌新規治療法の開発
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23592017
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
志村 龍男 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00282393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 昌彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10226178)
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 膵癌 / galectin / AMF |
Research Abstract |
Galectin-3は31kDaのbeta-galactoside結合蛋白で細胞質と核内とをシャトル移動することならびにMMP2/9により切断されること、細胞外へも分泌されることが分かっている。われわれは、galectin-3にはcasein kinaseとGSK-3betaによるリン酸化部位があり、beta-cateninとの類似性があることからWnt系との関連に注目しbeta-cateninとの結合および結合部位を特定し、beta-catenin同様Axinと結合しGSK-3betaによりリン酸化されることを発見しgalectin-3とWnt系との関係を見出した。一方、AMFは悪性黒色腫細胞の培養液中に分泌される細胞運動促進因子として発見されたサイトカインである。これまでにAMFのシグナル伝達にRhoが関与していること、AMFをoverexpressionさせることでNIH3T3-fibroblastにtransformationを起こさせ、細胞増殖シグナルに関与していることを発見し、膵癌細胞株においてはAMFの強制発現によりヌードマウスでの転移形成促進効果があることを明らかとしてきた。また、cell motilityに関する最新の知見としてAMFによる細胞運動亢進はIL-8を介してシグナル伝達されていることを突き止めた。本研究において、膵癌細胞株(MIA-Paca2、Panc-1、BxPc-3)を使用した実験で、galectin-3の発現をsiRNAで抑制させるとGEMCITABIN(GEM)やCISPLATIN(CDDP)への感受性が増しapoptosisが誘導されやすくなる結果得た。また、cell motilityの検討としてmigration assayを行ったところgalectin-3のsiRNAにより膵癌細胞株の浸潤が抑制されていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災により研究室の実験機器に被害が出たこと、ならびに研究室の使用自体が困難な期間があったため計画よりやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
galectin-3による膵癌細胞への抗癌剤感受性増強作用のメカニズムを解明するうえでまずは、apoptosisの経路を確認することを目標としてきた。様々な経路があるがcaspase3, 9によるものかcaspase8を介した経路であるかを検討しさらにその下流にあるAkt, Bad, Baxなどの関与について抑制剤を使用し検討する。膵癌細胞株ではIL-8を自家産生していることもpreliminary実験で分かっているのでAMFによる細胞運動亢進作用とIL-8との関係を解明する。膵管癌ならびに膵管内乳頭状粘液産生腫瘍由来癌におけるgalectin-3の発現局在を確認し、galectin-3の発現強度を予後規定因子の一つになりうるかを多変量解析を行い検討する。できれば、galectin-3の発現と補助治療として使用するgemucitabine、シスプラチンへの感受性との関係についてその機構を解明したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として申請分については膵癌患者の手術摘出標本を用いた免疫染色に使用する予定である。すでに切り出しマウントまで終了しており、今後後退による染色を行っていく予定である。研究計画の変更点としては、膵管原発のいわゆる膵管癌だけでは症例数も少ないので膵管内乳頭状粘液産生腫瘍由来の悪性腫瘍(IPMC)も対象として研究を進めることとしたい。翌年度の以降の研究費に関しては、予定通り膵癌細胞株を用いた抗癌剤感受性にかかわるgalectin-3の影響に関して検討を行うとともに、癌患者での血液中のgalectin-3をELISA法により測定するとともに、免疫染色の結果と予後との関連について多変量解析による検討を進めるために使用する。
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Research Products
(8 results)