2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目的とした膵癌におけるLipocalin-2の分子生物学的役割の検討
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23592019
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹山 廣光 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00216946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 洋一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40381800)
越智 靖夫 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80453067)
高橋 広城 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30381792)
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Keywords | 膵癌 / Lipocaline-2 / 血管新生 / 浸潤 |
Research Abstract |
1.臨床検体を用いたLipocaline-2(Lcn2)発現の検討.当科での手術症例の臨床検体を用いてLcn2の免疫染色を行った.予備実験では,膵癌患者と非膵癌患者との間で有意差をもってLcn2発現が膵癌患者に多い傾向であることを確認している. 2.Lcn2の分子生物学的役割の検討.膵癌細胞株をLcn2強発現株(BxPC-3およびAsPC-1: well to moderate diff.)およびLcn2弱発現株(Panc-1およびMIA PaCa-2: poorly diff.)に分類し,それぞれに対してLcn2抑制株,Lcn2強発現株を樹立した.興味深いことに,高分化で発現が強く,低分化で発現が減弱する傾向にあった.これにより,癌化初期にLcn2のタンパク発現が生じ,進行と同時に減弱することが示唆された. 3.Lcn2の導入または抑制によって,癌細胞が分泌するサイトカイン発現の差異をELISAで検討した.Lcn2の強発現によって,血管新生因子VEGF発現が増強することを認めている. 4.分子生物学的特長の比較検討.Lcn2の導入または抑制によって生じる細胞特徴の変化の特徴を,増殖実験(WST-1 assay),接着実験,浸潤実験,で評価検討した. Lcn2弱発現株はLcn2強発現株に比べて,増殖,接着,および浸潤能が亢進している傾向を認めた. Lcn2弱発現株はLcn2強発現株に比べてVEGF発現が少なく,in vitroの血管新生実験でもLcn2弱発現株は血管新生能が亢進していた.以上により,膵癌初期にLcn2の発現が多く,これが膵癌血管新生に抑制的に作用しているが,Lcn2の発現が減弱する進行癌では,血管新生が亢進し,さらに腫瘍増殖が付随して亢進することが示唆された.今後はin vivoでの実験を行い,Lcn2と膵癌血管新生の関連を検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lcn2の発現を膵癌細胞株および臨床検体で確認できており,その分子生物学的役割も解明しつつある.早期膵癌のマーカーとしてだけでなく,新規の抗血管新生薬としての働きも期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo実験で,Lcn-2の発現により腫瘍が大きくなることを確認する予定である.また,これらの組織を用いて免疫染色を行い,Lcn-2の腫瘍増大効果のメカニズムを検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①Lcn2の分子生物学的役割の検討(in vivo)(松尾洋一,竹山廣光) Male athymic NCr nude mice(N=5/group)を用いる.移植する膵癌細胞株はMIA PaCa-2 with/without Lcn2 (stably transduced with luciferase)を用い,移植法はBouvet M et alの報告に従って行う.移植後一週間毎に,IVIS200(Xenogen)を用いて腫瘍サイズの変化を測定する.この手技は確立している.予備実験では,Lcn2の抗腫瘍効果を認めている. ②Ki-67 analysis(松尾洋一,高橋広城) Formalin-fixed, paraffin-embedded (FFPE) sectionsを抗Ki-67抗体で免疫染色する.Ki-67陽性細胞を計測し(Ki-67 index),両群の腫瘍増殖能を比較検討する. ③CD31染色(松尾洋一,高橋広城) 同様にFFPE切片を抗CD31抗体で免疫染色し,micro vessel densityを計測する.これにより両群間で血管新生能を比較検討する. ④Lcn2経口投与または腹腔内投与モデル(in vivo)(松尾洋一,竹山廣光) recombinant Lcn2を経口または腹腔内投与を作成する.これにより腫瘍抑制効果および抗血管新生効果の有無を検討する.
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Research Products
(13 results)