2011 Fiscal Year Research-status Report
ダイレクトRNAシークエンスとメカノセンサーを用いた糖代謝関連転写因子の機能解析
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23592021
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
土谷 まり子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00266826)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 転写因子 / 膵細胞 / siRNA / maf / 糖尿病 / 細胞極性 |
Research Abstract |
転写因子maf mRNAの変化という情報が何を伝え、どのような機能変化に至るかの情報を得ることが目的である。膵のcancer cell line(AsPC-1 cell)にtransfectionしてmafB mRNAの発現をsiRNAで抑制し、この系を用いてE-cadherin, beta-catenin, alpha-catenin, actin, GSK3bの発現の変化を免疫組織染色で観察したところ、それぞれの発現分布の変化が見られた。E-cadherinは細胞辺縁に強く発現し、F-actinは細胞質フィラメントを認め、GSK3bも分布変化をみている。この系にWNT blockerであるXAV, Quercetinを添加して、その反応性を、scratch assay を行いBioStationCT(Nikon)のタイムラプスで経時的に細胞観察を行っみた。Scratch assay によるcell migration activity はmafBの発現抑制と、XAV, Quercetinによって明らかに変化を受ける。mafB siRNA transfected cell では、cell migration activity が大きく亢進するが、その程度はQuercetin付加によって代償される。QuercetinやXAVの作用の様式はそれぞれ異なっているが、e-cadherin, cateninによるWNT signal系を介して、mafBの発現が膵細胞の分化・細胞極性の変化をもたらしていると推察される。今回BioStationCTによる経時観察で、細胞個々のmigration activityの観察が可能になり、細胞によって遊走能に大きな差があることが分かった。細胞一つ一つのプロファイル、周囲細胞環境により、反応性は大きく異なっていることが、経時的に可視化できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、接着斑を構成するテンションセンサーの構築を図り、これにより細胞極性変化の定量化を試みる予定であったが、BioStationCTによる細胞変化の計測可視化ができてきているので、こちらを優先して進めている。 免疫沈降によるタンパクの同定がやや遅れている。AsPC-1 cell にQuercetin添加を行うと、large maf mRNA は著明に増加する。QuercetinのWNT blockerとしての作用を考えると、このときmafBに働くタンパクは、作用分子として興味深く、免疫沈降によりDNA binding proteinを探索しているが、交叉反応等により予定より結果が遅れている。しかし技術的には安定していて進展はしているのでこのまま進めていく
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Strategy for Future Research Activity |
1.maBの動態は細胞極性の構成にまず寄与していくと思われるので、細胞極性マーカーを継時的に蛍光組織染色で追跡していく方向で進め、現在のところ、個々の細胞による違いがBioStationCTで経時的に追跡できているのでこのまま継続していく。2.3次元培養による変化をみる:極性マーカー、接着斑などの免組染色を行い、BioStationCTによる観察計測可視化をすすめていく。接着斑を構成するテンションセンサー構築による極性の定量化にはこだわらず、まず可視化を優先3.免疫沈降によるタンパクの同定をすすめ、signal factor があればこれに合わせてsignal 伝達系の検討をすすめていく。4.キーファクターについてRNAダイレクトシークエンスキットの使用を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記計画に沿って、細胞培養(3次元培養)、抗体に支出があり、タンパクの検討にタンパク精製試薬、抗体に支出、シグナル伝達系の分子検索と、RNA direct sequence kit の試用に支出がある。
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