2011 Fiscal Year Research-status Report
NKT細胞をベースとした新規抗腫瘍エフェクター細胞の構築と膵臓癌治療への応用
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23592022
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
植村 靖史 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 主任研究員 (40364781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん / ナチュラルキラーT細胞 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
健常人末梢血単核球をα-GalCer刺激してα-GalCer特異的ヒトVα24 インバリアントNKT (iNKT) 細胞の増殖を誘導した。これからVα24+Vβ11+6B11+ヒトiNKT細胞を、高速自動セルソーターにより精製分離して7-9日おきに複数回刺激することで株化した。さらにiNKT細胞にCD8α/β鎖遺伝子、およびがん抗原 (MAGE-A4) 特異的TCRα/β鎖遺伝子を導入した。CD8α/β鎖、TCRα/β鎖の発現はCD8α鎖、CD8β鎖に対する抗体、およびHLAテトラマーを用いたフローサイトメトリーにより確認した。さらにがん抗原特異的TCRを発現するCD4+CD8β- (CD4+ iNKT細胞サブセット), CD4-CD8β- (double negative (DN) iNKT細胞サブセット) を精製分離して株化した。これらのiNKT細胞サブセットは、がん抗原特異的TCRの他に、α-GalCerを特異的に認識する内因性のインバリアントTCRを保持していた。これらがん抗原特異的TCR発現iNKT細胞は、HIVペプチドを負荷したHLA-A24陽性細胞株に細胞傷害性を示さなかったが、がん特異抗原ペプチド (MAGE-A4ペプチド) を負荷したものに対して細胞傷害活性を示した。また、ペプチドの段階希釈により、特にDN iNKT細胞サブセットは強力な細胞傷害活性を示すことが明らかになった。このエフェクター細胞は、がん抗原ペプチドを認識するTCRとα-GalCerを特異的に認識するインバリアントTCRをともに発現するため、がん抗原ペプチドあるいはα-GalCerを用いて生体内で増殖をコントロールすることが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レトロウィルスを用いることにより、TCRおよびCD8遺伝子を効率良く導入することができた。遺伝子導入に使用するレトロウィルスおよび導入TCR発現の確認に用いるテトラマーのロット間の影響が大きく、解析結果が安定しなかったが、予備実験を重ねることで克服している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、大量のDCを解析に使用するため、DCのソースであるCD14陽性細胞を早期に健常人ボランティアから採取・凍結保存する。in vivo実験で予想外のトラブルが生じる恐れがある為、早期からヒトがん細胞の移植実験を開始して条件検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
異なるiNKT細胞サブセットをベースとしたエフェクター細胞が、DCに賦与する機能的修飾(アジュバント効果)を評価する。検討項目は、DCにおける液性因子 (IL-10, IL-12, IL-23, IL-27, VEGF, sVEGFR) の産生、DCの成熟マーカー (CD83, CD86など) の発現である(ELISA, フローサイトメトリー, リアルタイムPCR)。一方、ルシフェラーゼ遺伝子導入がん細胞株を作製して、NOJ (NOD/Shi-scid, JAK3null) マウスに移植する。これに各種エフェクター細胞を輸注して抗腫瘍効果を比較検討する。抗腫瘍効果は、生存率、腫瘍形成の有無、腫瘍径を計測するなどにより判定する。したがって、これらを解析する為の試薬(DC誘導試薬・サイトカイン・抗体・ELISA関連試薬・リアルタイムPCR関連試薬)、およびマウス飼料などを購入して研究を実施する。
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Research Products
(5 results)