2012 Fiscal Year Research-status Report
NKT細胞をベースとした新規抗腫瘍エフェクター細胞の構築と膵臓癌治療への応用
Project/Area Number |
23592022
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
植村 靖史 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 主任研究員 (40364781)
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Keywords | がん / NKT細胞 / 樹状細胞 / 免疫療法 |
Research Abstract |
健常人末梢血単核球をα-GalCer刺激してα-GalCer特異的ヒトVα24 インバリアントNKT (iNKT) 細胞の増殖を誘導した。これからVα24+Vβ11+6B11+ヒトiNKT細胞を分離して7-9日おきに複数回刺激することで株化した。このiNKT細胞にCD8α/β鎖遺伝子、およびがん抗原 (MAGE-A4) 特異的TCRα/β鎖遺伝子をレトロウィルスを用いて導入した。CD8α/β鎖、TCRα/β鎖の発現はCD8α鎖、CD8β鎖に対する抗体、およびHLAテトラマーを用いたフローサイトメトリーにより確認した。さらにがん抗原特異的TCRを発現するCD4+CD8β- (CD4+ iNKT細胞サブセット), CD4-CD8β- (double negative (DN) iNKT細胞サブセット) を分離した。これらのiNKT細胞サブセットは、がん抗原特異的TCRの他に、α-GalCerを特異的に認識する内因性のインバリアントTCRを保持していた。一方、健常人末梢血単核球よりCD14陽性細胞を磁気分離してIL-4, GM-CSF存在下培養することでヒトモノサイト由来樹状細胞 (DC) を誘導した。がん抗原特異的TCR発現CD4+ iNKT細胞とDCとの共培養において、がん特異抗原ペプチド (MAGE-A4ペプチド) を負荷したDCは、IL-12p70を産生しなかったが、α-GalCerを負荷したDCは、野生型のiNKT細胞を用いた場合の5倍以上のIL-12p70を産生した。この観察は、DN iNKT細胞をベースとしたものを用いた場合では観察されなかった。がん抗原特異的TCRを発現するCD4+ iNKT細胞は、α-GalCer特異的にDCのIL-12p70産生を促進する細胞アジュバントとしての機能に優れ、がん患者に認められる免疫抑制状態を解除しうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子を導入したCD4+ iNKT細胞が強力なアジュバント効果を示すことが明らかになり、これのメカニズムを解明する作業が必要となった。In vivoにおける抗腫瘍効果判定の準備は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、大量のDCを解析に使用するため、DCのソースであるCD14陽性細胞を早期に健常人ボランティアから採取・凍結保存する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
異なるiNKT細胞サブセットをベースとしたエフェクター細胞が、DCに賦与する機能的修飾(アジュバント効果)を評価する。検討項目は、DCにおける液性因子 (IL-10, IL-12, IL-23, IL-27, VEGF, sVEGFR) の産生、DCの成熟マーカー (CD83, CD86など) の発現である(ELISA, フローサイトメトリー, リアルタイムPCR)。一方、ルシフェラーゼ遺伝子導入がん細胞株を作製して、Balb/c-RJ (RAG2null, JAK3null) マウスに移植する。これに各種エフェクター細胞を輸注して抗腫瘍効果を比較検討する。抗腫瘍効果は、生存率、腫瘍形成の有無、腫瘍径を計測するなどにより判定する。したがって、これらを解析する為の試薬(DC誘導試薬・サイトカイン・抗体・ELISA関連試薬・リアルタイムPCR関連試薬)、およびマウス飼料などを購入して研究を実施する。
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