2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 稔 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40270871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50178597)
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Keywords | 血管吻合 / 吻合デバイス |
Research Abstract |
ウサギの頸静脈-頸動脈バイパスを作成し、1ヵ月(8羽)、3ヶ月(10羽)、6ヵ月(4羽)に評価した。吻合時間、血液流量、血管造影検査、吻合部の病理検査をデバイスとコントロールで比較した。吻合時間、血管造影検査、血液流量のいずれについては両群で有意差は認められなかった。病理検査では、Hematoxilin-Eosin染色およびElastica-van-Gieson染色を行った。デバイス群では、1ヶ月後の時点でデバイス周囲にマクロファージやリンパ球、顆粒球などの炎症細胞の浸潤および異物肉芽の形成がみられ、吻合部の血管内膜は増生していた。3ヶ月後には細胞浸潤および肉芽増生は減少傾向となり、内膜増生もピークを過ぎ、6ヵ月後はさらに異物に対する反応は沈静化していた。デバイスが動静脈を含む周囲組織に過度の異物反応を惹起している像は見られなかった。すべての期間で両群間に有意差を認めなかった。 ブタの冠動脈バイパス実験も行った。急性期実験で左内胸動脈-冠動脈左前下行枝、右内胸動脈-右冠動脈バイパス術を行った。吻合時間、血液流量、冠動脈造影検査を行った。吻合時間は両バイパスともに両群に有意差を認めなかった。血液流量も両群で有意差を認めなかった。血管造影も両群で同等であった。 ブタの冠動脈バイパス慢性モデルでは、同様の冠動脈バイパス術のあと、1ヵ月、3ヶ月、6ヵ月生存させ、デバイスの有効性、安全性を評価した。1ヵ月モデル5頭、3ヶ月モデル5頭、6ヵ月モデル3頭に行い、吻合時間、血液流量、血管造影、吻合部の病理検査を評価項目とした。24年度はこのうち、1,3ヶ月の手術と1ヵ月モデルでの評価結果を得ることができた。吻合時間は両バイパスともに両群間に有意差を認めなかった。1ヶ月後の血管造影ではすべての吻合でFitzGibbon Aの良好な結果が得られた。病理検査は現在切片作成中で25年度に評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、小動物(ウサギ)におけて対象デバイスの有効性と安全性を小口径血管吻合(頸動脈―頸静脈)でまず確認することを23年度から24年度の目標にとした。モデルは、急性期実験および1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の慢性期実験すべてでコントロール群と比較・評価する計画とした。24年度中に、小動物モデルは病理検査を含めすべて評価終了することができた。 大動物モデルとしては、臨床に近い、ブタにおける冠動脈バイパスモデルを作成して評価することを計画した。大動物においても、小動物と同様に急性期モデル評価とともに、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の慢性期モデルを作成して、デバイスの安全性と有効性をコントロール群と比較・評価することを24年度から開始して、25年度中に完了することを目標とした。24年度には、大動物モデルはデバイス、コントロールともに8割の予定数が作成可能であった。また、病理標本作製・評価は24年度にはまだ十分にできていないが、25年度中にはすべて完了できる目途がついている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の推進方策としては、引き続きブタの慢性モデルの最終作成と病理評価を行い、ブタ冠動脈吻合でのデバイスの有効性、安全性を確認する。また、元来このデバイスは小開胸手術やロボット手術などの狭小スペースでの小口径血管吻合を可能にするために開発したものであるため、そのような環境を模倣した実験下で有効性を評価することが次なる目標となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル作成のための大動物(ブタ)の購入および飼育。 病理標本作製・評価。 以上の研究結果を学会発表するための参加・出張費用、および論文作成・英語校正費用 など。
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