2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23592029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 稔 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40270871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 一郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50178597)
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Keywords | 低侵襲手術 / 冠状動脈バイパス術 |
Research Abstract |
内視鏡手術やロボット手術が心臓外科領域に導入されて久しいが、これらの方法を冠状動脈バイパス手術に応用するためは依然として問題点が存在する。我々は、低内視鏡手術やロボット手術でも使用可能な冠状動脈末梢側吻合用デバイスを開発した。これは市販のpolypropylene糸の自由端にステンレス製の錨状の器具が圧着された単純な構造をしている。最大の利点は、通常の連続吻合の後にワンタッチで糸を固定でき、結紮を必要としないことである。 14頭のクラウンミニブタを用いて実験を行った。左内胸動脈‐左前下行枝バイパス(LITA-LAD)、右内胸動脈‐右冠状動脈バイパス(RITA-RCA)を心拍動下に行い、吻合時間とバイパス流量の測定を行った。14頭中11頭について開発したデバイスを用いて吻合を行い(D群)、3頭では従来の7-0 polypropylene糸を用いて吻合を行った(C群)。術後1ヵ月(D群5頭、C群1頭)、3ヶ月(D群4頭、C群1頭)、6ヵ月(D群2頭、C群1頭)に血管造影検査および吻合部の病理検査を行った。評価期間中は100mg/日のアスピリンを餌とともに与えた。 LITA-LADおよびRITA-RCAで吻合時間に群間差はなかった。バイパス流量においても、LITA-LADまたRITA-RCAのいずれにおいても両群で同等であった。術後血管造影検査ではすべての期間ですべての吻合がFitzGibbonAの良好な結果であった。病理評価では、両群ともに1ヵ月に炎症反応のピークを迎えその後徐々に沈静化していき、両群に炎症の程度の差はみられなかった。またデバイスを用いた吻合ではステンレス素材による組織や血管の侵襲はみられなかった。 ミニブタを用いた長期埋め込み実験を行い、我々の開発したデバイスは、従来の吻合方法と同様に有効かつ安全に冠状動脈吻合を行うことができることが実証された。
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Research Products
(10 results)