2012 Fiscal Year Research-status Report
生理学的な血流シミュレーションシステムに基づく小児複雑心奇形手術の術式最適化計画
Project/Area Number |
23592041
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鹿田 文昭 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (90457359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 光樹 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (90256610)
岡村 達 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (20277198)
檜垣 高史 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (60253308)
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Keywords | 先天性心疾患 / フォンタン手術 / 流体力学 |
Research Abstract |
前年度で解析を行った機能的単心室に対する手術である下大静脈ー肺動脈人工血管吻合(フォンタン手術)に対するCFD(Computational Fluid Dynamics)によるシミュレーションデータを元に、今年度は異なる手術条件での解析と検討を行った。ソフトは、Ansys社が販売する年間契約のCFDソフトを用い、モデル形状の設計はAutodesk社のAutoCADを用いて研究を行った。前年度の研究では、片側の上大静脈ー肺動脈吻合(両方向性グレン手術)後に対する、フォンタン手術時の人工血管吻合の肺動脈に対する流体力学的に有利な至適角度の算出であった。本年度は、臨床的に工夫を要する両側上大静脈ー肺動脈吻合(両側両方向性グレン手術)に対する生理学的に有利な吻合形成の検討を行った。左右の上大静脈を肺動脈吻合近位で流入部を一つにまとめて肺動脈に吻合するほうが、血流のよどみが少なく流体力学的に有利な条件であることが判った。さらに、この吻合形成後に、次の段階的手術であるフォンタン手術を施行した場合の至的手術方法の検討と解析を行った。この吻合方法を行った場合、フォンタン手術時の人工血管吻合の角度は、前方より肺動脈に吻合したほうが流体力学的に有利であることが判った。よって両側上大静脈を有する症例では、左右の上大静脈を一つの血管となるように肺動脈と吻合した方が血流のよどみが少なく、血栓形成の可能性が少ない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能的単心室に対する至適手術のシミュレーション結果は算出しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた基礎研究のデータを加味し、臨床画像データから得られる解析法の研究を推進していく予定である。そして研究成果を海外の学会で発表し、海外雑誌への論文投稿を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Ansysが販売するCFDソフトは年間契約の形であるため、研究継続のための年間ライセンスの購入に研究費を充当する。さらに研究結果を海外学会発表や英語論文発表するために学会参加費と旅費、英語抄録や英語論文の校正費用に当てる予定である。
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