2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592044
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50420609)
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Keywords | 心筋再生 / 組織工学 / 再生医療 / 幹細胞研究 |
Research Abstract |
平成24年度は、動物実験を行った。研究計画書には当初ヌードマウスを使用することとしていたが、手技の勘弁さ等を考慮してヌードラットを使用した。大型心筋移植片の作成法も若干改良をした。ラット胎児由来心筋細胞、ヒト冠動脈血管内皮細胞、ヒト皮膚線維芽細胞を細胞数比率で700:100:200とし、1,000細胞数/スフェロイドとすると、内部に血管構造を持った機能的心筋組織型スフェロイドを作成できることを見出した。さらにこのスフェロイド10000個を円盤状に配列すると約24時間で融合しシンクロして拍動する心筋パッチが再現性を持って作成できるようになった。本構造体は直径94±6mmで心拍数は52±17bpmであった。本技術の利点として、スフェロイドの数を定量的に増減することにより細胞の生存率を一定にしたまま、総細胞数換算で2倍体や4倍体などの心筋構造体が再現性を持って作成できるようになった。本年度では、まず、再現性のある、心筋構造体の移植を実現させるため正常なヌードラット心筋へ構造体を移植した(n=10)。5日目、21日目に犠牲死させ組織学的解析を行うと構造体は最大組織厚0.5mmで左心室表面に存在し、新生した成熟した、赤血球を内部に含有する血管を内部に有していた。 心筋梗塞モデルへの移植を検討した。(n=8)、心筋梗塞作成時および術後に総数手術数の約40%が死亡するが、翌日まで生存した症例は長期生存可能であった。かつ心筋梗塞後3週間後の心エコーによる心機能の評価を、Sham群と未治療群の3群で比較した。EF=Sham群:graft群:未治療群=87.4:49.4:41.6(p<0.05)と有意に移植群の心機能が改善していた。定量的解析ではBNP測定、組織および心筋の免疫染色などで詳細な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心筋組織構造体をラットに移植し治療効果の判定等はできている。今後は詳細な解析、BNPなどを予算内で定量的に解析していく必要がある。解析に関しては、当初提出した研究計画よりは若干遅れている。 また、今年度までの研究は体細胞を用いたデータである。研究計画書では、心筋細胞はES細胞あるいはiPS細胞を用いて行う事としているが、現在心筋を幹細胞から、高効率で分化し、精製する技術がいまだ確立されていなかったため幹細胞由来心筋細胞を使用できていない。ゆえに、この点では大幅に遅れていると言える。問題解決のため、現在は京都大学のCiRAに技術協力をお願いしており。25年度ではヒトiPS細胞由来心筋を用いた研究を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の動物実験での蓄積された標本、エコーデータの解析を引き続き行う。 心筋梗塞モデル+移植モデルからの血液サンプルなどを網羅的に解析し、BNP、腎機能、その他サイトカインの解析を行う。 現在得ている、組織標本のより分子生物学的な解析を行い、移植モデルと、非移植モデルの差異を比較し心機能改善効果のメカニズムを解析したい。 iPS細胞から分化した心筋細胞を使用し、2倍体なども移植することで計画書にあるデータを得るよう努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果発表として国際学会旅費30万円。 論文制作、英文校正、投稿料にあてる。約5-10万円。 残りを、ヌードラット購入・飼育費。および細胞培養のための消耗品代としたい。
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Research Products
(8 results)