2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎児付属物由来間葉系細胞と心筋分化誘導分子による重症心不全治療の実現
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23592047
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡本 一真 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10338064)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 循環器・高血圧 / 重症心不全 / 細胞移植 / ヒト幹細胞 |
Research Abstract |
本研究課題では、ヒト胎児付属物(胎盤、臍帯、子宮内膜)由来の間葉系細胞と心筋分化誘導分子の組み合わせによる高率な心筋分化法を規格化し、重症心不全に対する細胞移植治療の実現を目指して研究を遂行した。心筋分化誘導分子を導入することでヒト胎児付属物由来間葉系細胞から心筋への分化誘導効率を飛躍的に向上し、最終的には細胞移植が重症心不全治療の標準治療となることをゴールとする。 平成24年度は、平成23年度に引き続きヒト胎盤由来の間葉系細胞が低侵襲なアプローチである心嚢内視鏡下アプローチで安全に移植でき、生着させ、心筋へ分化する能力を検証することを目指して研究を進めた。全身麻酔下のビーグル犬を用いて、セルディンガー法により心嚢内に内視鏡を挿入して心嚢内の視野を確保し、各種マニュピュレータープロトタイプを用いて心嚢内で細胞移植シミュレーションによる器具の最適化を行った。既製の内視鏡システムを用いた心嚢内での内視鏡手術手技の確立、マニピュレータを含めた周辺機器の最適化、心外膜側からの細胞移植デバイスツールを開発をすすめた。心嚢内視鏡アプローチでビーグル犬の左室に青色色素の注入、ビーズの注入、ヒト胎盤由来間葉系細胞の左室20カ所への移植とすすめ、観血的動脈圧ラインや心電図の解析により、手技中の血行動態の変化をモニタリングした。さらにペースメーカーワイヤの留置にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①ヒト胎児付属物由来間葉系細胞調整法の確立 ヒト胎児付属物(胎盤および羊膜)由来の間葉系幹細胞の採取方法、培養方法、心筋への分化誘導法の標準化はほぼ完了しているが、これの効率化・規格化においてさらなる改良を進めている。 ②心筋分化誘導分子による心筋分化効率の向上 In vitroで心筋誘導効率を増加させる、PPAR-γ(peroxisome proliferators activated receptor-gamma)活性化処理や、ARB(アンギオテンシン受容体阻害薬)処理がin vivoでも心筋誘導効率の改善を生じ、分化した心筋細胞を観察でする事が出来るかを検討中であるが、心臓への低侵襲心嚢内視鏡下アプローチによる細胞移植システムの構築を優先して進行しており、この点については順調に研究が推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
①心嚢内視鏡下細胞移植法の確立:低侵襲な心筋への細胞移植法としての、心嚢内視鏡下細胞移植法を開発を進める。ヒト胎児付属物由来間葉系細胞の有効な心筋分化誘導法を検証するためのビーグル犬を用いたIn Vivo実験系を確立する。 ②心筋分化誘導分子による分化効率の向上:心筋分化誘導率を劇的に向上させる分子の同定を推進する。現在最も有力な候補であるPPAR-γおよびARBを中心に、数種類の候補分子について検討する。さらに、in-vitroだけではなくin-vivoでの幹細胞の生着率、心筋分化誘導率の変化などについて検討を進める。 ③幹細胞移植の治療効果の検討:心嚢内視鏡下低侵襲アプローチを用いて、ヒト幹細胞の生体内での分化能・生着能検定を行う。免疫不全動物への移植による生着、機能発揮、組織構築能に関する検討やイヌ心筋梗塞モデルへの移植による心機能改善能の評価により、ヒト幹細胞移植による重症心不全治療の臨床応用を裏付ける基礎データを蓄積する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を推進するため、細胞培養用血清や心筋分化誘導分子などの消耗品、また低侵襲心嚢内視鏡下アプローチの手技的安定性を整えるために、ヒト幹細胞移植・生着検討実験における消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)