2012 Fiscal Year Research-status Report
ワルファリン代謝酵素のゲノム解析によるオーダーメイド医療に関する研究
Project/Area Number |
23592049
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秦 光賢 日本大学, 医学部, 講師 (00350017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 元美 日本大学, 医学部, 教授 (20170847)
|
Keywords | ゲノム / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
開心術施行症例における術後消化管合併症の予防にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)PPIの投与が最も有効であるが(HATA M, Circulation J 2005)、ランソプラゾール(LP)とワルファリンWFの相互作用により出血合併症のリスクを高め、その原因としてPPI、WFの代謝酵素であるCYP2C19の遺伝子亜型の影響が指摘される(HATA M, Thorac Cardiovasc Surgeon 2008)。遺伝子亜型には、Homo Extensive Metabolizer (EM)とPoor Metabolizer(PM)、その中間のHetero Extensive Metabolizer(IM)が存在する。本研究ではPPIとWF併用症例における標的酵素VKORC1およびCYP2C19 におけるgenotypingを行い、各遺伝子型患者のINRの変化、WFの適正投与量、適正PPIの選択方法に関するオーダーメイド治療を確立するための研究である。平成24年4月時点で112例の遺伝子解析が終了したが、このうち標的酵素VKORC1を統一した82例を対象とした。既に17例にINR以上高値例が出現し、そのうち12例に出血合併症を認めた。幸い研究者の集中管理により大事には至っていないが、統計学的有意差がすでに明らかとなっており、82症例で統計学的検討に基づくサブ解析を行い、11月予定のアメリカ心臓病協会(AHA)に抄録提出予定である。現在までの統計結果では、INR以上高値例はLP群15例、ランソプラゾール(RB)群2例でLP群で有意に高く、さらに出血合併症例はすべてLP,WF併用群であった。この12例のCYP2C19 genotypeはheteroEM 6例(42.9%)、PM 4例(44.4%)でheteroEM 2例(12.5%)に比して有意に高値であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに112例の遺伝子解析が終了しており、本研究予定症例の90%以上の達成率である。しかし既に多くの出血合併症を認めており、統計学的にも有意差が明らかとなっている。医療安全の観点からもこの時点で、患者入力を中止し、各因子分析などサブ解析に移行する段階となっており、研究発表も予定通り、これからAHAをターゲットに抄録作成が進められる段階にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象例の関連代謝酵素遺伝子多型シークエンス解析はすでに終了しており、今後はVKORC1を統一した82例について統計学的サブ解析を行っていく。年齢、性差、ワーファリン投与量、ワーファリン増減の有無、INR平均値、INR最高値、異常INR、出血合併症、INR目標値までの期間等につき、PPIの種類との関係、CYP2C19各遺伝子型との関係について解析を進め、最適な併用薬選択のためのオーダーメイド処方について結論を出し、25年度内に学会発表し論文として投稿予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|