2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592076
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
佐久間 勉 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90215674)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | RAGE / 虚血再潅流肺傷害 / 周術期 / ヒト切除肺 |
Research Abstract |
ラット肺での研究:肺切除術の周術期モデルの確立を目的とした。まずSDラットを用い、左虚血再潅流肺傷害モデルを作成して、虚血時間が周術期延命に及ぼす影響を研究した。その結果、30分の虚血では全ラットが再潅流後に延命し、1.5時間の虚血では再潅流後の延命は困難であった。しかし、乾湿重量法で検討した肺傷害の程度は30分虚血モデルでは軽度であり、1時間モデルでの研究遂行が良いと考えられた。なお、虚血再潅流肺傷害ラットでは血圧、心拍数、気道内圧の測定が不可欠であることが判明したため、生体信号モニタリングシステム一式とコンピュータを購入し、実験中のデータを記録するシステムを確立した。ヒト切除肺での研究:肺癌と気胸で切除した肺葉を用いて気腫化肺、嚢胞化肺、肺癌、正常肺でのRAGE発現を免疫染色にて研究した。その結果、正常肺では肺胞上皮細胞を中心に発現していた。気腫化肺では肺胞上皮細胞での発現はあるものの肺間質に存在するマクロファージにPAGE発現を認め、気腫形成や炎症におけるRAGEの役割が示唆された。肺腺癌に対する切除肺では肺胞上皮細胞のみならず肺癌でのRAGE発現を認め、研究の遂行に際して肺癌の役割を研究する必要性が示唆された。ヒト切除肺を用いたRAGEの発現はRAGE研究の材料、モデルとして適していると考えられた。また、免疫染色に用いた抗体は染色程度も優れており、引き続き使用することが適切せあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット肺での研究:研究モデルの確立に時間を要したが、1時間の虚血モデルが周術期肺傷害のモデルとして適切であることが決定できたため、研究は進行すると考えれられる。また、実験中の呼吸循環モニターシステムが確定できたため、データ記録が容易になり研究結果の解析が容易となった。ヒト切除肺での研究:購入したRAGE抗体での免疫染色が難渋したしたが、濃度調節を行った結果、ヒト切除肺での免疫染色方法は確立でき、研究の遂行が可能であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究で達成できなかった研究を遂行する。まず、虚血再潅流傷害後のラット肺で、血液、肺胞洗浄液のRAGE濃度変化を測定する。また、傷害肺組織におけるRAGEの発現を研究する。引き続き、平成24年度以降の研究予定であった酸素濃度、肺保存濃度、低栄養の影響を研究する。また、肺胞水分クリアランスとRAGEの関連を研究する。ヒト切除肺の潅流モデルを作成して、潅流液、肺胞洗浄液のRAGE濃度を測定する。また、ラット肺と同様に平成24年度以降の研究予定であった酸素濃度、肺保存濃度、低栄養の影響をヒト肺で研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費用(RAGE Rat ELISAキット、RAGE Human ELISAキット、免疫染色用抗体など)、動物費用、試薬、実験器具費など使用する予定である。また、情報収集、情報交換として費用を使用する。
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Research Products
(1 results)