2011 Fiscal Year Research-status Report
幼若骨髄単核球移植による、老齢マウスでの脳虚血保護効果
Project/Area Number |
23592093
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秦 龍二 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90258153)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 丘倫 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70233210)
久門 良明 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80127894)
阪中 雅広 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60170601)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 脳虚血 / 骨髄単核球 / 再生療法 |
Research Abstract |
自己骨髄単核球を用いた移植治療が、虚血性心疾患や末梢動脈閉塞症患者に対する新たな再生療法として確立されてきている。例えば急性期心筋梗塞患者に自己骨髄単核球を投与した臨床試験では、血管系を介する自己修復機構の促進により、慢性期に心機能が向上し、死亡率が低下することが報告されている。一方虚血性脳血管障害に対しても、骨髄単核球移植が有効な可能性が示唆されている。骨髄単核球には血管内皮前駆細胞や造血幹細胞等の種々の幹細胞を含むと考えられ、これらの骨髄系幹細胞を移植すると、虚血領域での血管発生 (vasculogenesis) 効果や、サイトカインや増殖因子の分泌による血管新生 (angiogenesis) 効果(即ち、既存の血管内皮細胞の増殖・遊走を促進する効果)、及び組織再生効果があることが確認されている。更に骨髄単核球は加齢とともに、細胞数が減少し、その機能も低下することが知られている。そこで本研究では虚血性脳血管障害に対しても、骨髄単核球移植が有用かどうかを検討するため、幼年期のマウスより採取した骨髄単核球が、脳虚血障害を軽減させる効果があるかどうかを老齢マウス脳虚血モデルを用いて検討した。本年度は生後1年の老齢マウスの中大脳動脈を閉塞後1週間目に、生後1ヶ月の幼若マウスと生後1年の老齢マウスより採取した骨髄単核球を移植し、移植1ヶ月目の脳梗塞量を検討した。その結果両郡の脳梗塞量に有意な差を認めなかった。また脳虚血後の各種サイトカイン(TNF-alpha, IL-6, MCP-1等)量の定量をELISAで行ったが、単核球移植一週間後での脳虚血半球でのこれらのサイトカイン量にも両郡間で差を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の研究計画に基づき研究を継続している。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験結果では、脳虚血後に骨髄単核球移植を行っても明らかな治療効果を認めなかった。そこで本年度は脳虚血前に老齢マウスに若年骨髄単核球移植を行うことにより、治療効果の有無を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)幼若骨髄単核球移植と老齢骨髄単核球移植が脳虚血に及ぼす効果の検討:生後1ヶ月目の幼若マウスと生後1年の老齢マウスより骨髄単核球を採取し、老齢マウスの骨髄に移植する。その後中大脳動脈を閉塞し、幼若骨髄単核球移植による脳虚血保護効果の有無を検討し、その分子機構を解明する。2)CD34やCD31を除去した骨髄単核球移植が脳虚血に及ぼす効果の検討:生後1ヶ月目の幼若マウスより採取した骨髄単核球から、磁気細胞分離法によりCD31、CD34及びCD133陽性細胞を除去した骨髄単核球を移植する。これにより骨髄単核球のうちどの幹細胞が最も重要な脳虚血保護効果を持つかを検討する。3)CD31(PECAM-1)を欠損した骨髄単核球移植が脳虚血に及ぼす効果の検討:骨髄単核球にはCD34やCD31陰性細胞から陽性細胞に移行する未分化幹細胞が存在している。このため磁気細胞分離法によりCD34やCD31陽性細胞を取り除くだけでは不十分な可能性がある。そこでマウスでの血管内皮前駆細胞のマーカーとして知られているCD31をノックアウトしたマウスを利用し、CD31を完全に欠損した骨髄単核球が脳虚血に及ぼす影響を検討する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Risk of progression from mild memory impairment to clinically diagnosable Alzheimer disease in a Japanese community (from the Nakayama Study)2011
Author(s)
Sonobe N, Hata R, Ishikawa T, Sonobe T, Matsumoto T, Toyota Y, Mori T, Fukunaga R, Komori K, Ueno S, Tanimukai S and Ikeda M
-
Journal Title
Int Psychogeriatr
Volume: 23
Pages: 772-779
Peer Reviewed
-