2013 Fiscal Year Research-status Report
頸動脈石灰化含有プラークにおける炎症・石灰化関連遺伝子に関する分子生物学的研究
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23592102
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片野 広之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30295612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90150341)
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Keywords | 頸動脈狭窄症 / 頸動脈プラーク / 石灰化 / microarray / ANGPTL4 / FGFR2 / RT-PCR / Western blotting |
Research Abstract |
動脈硬化における石灰化の詳細な機構はまだ不明であるが、高度に石灰化した頸動脈粥腫は安定化しており無症候であることが多いとされている。頚動脈狭窄症18例についてCaスコアにより高・低石灰化粥腫群(平均587.0±204.0 vs. 61.8±26.9)に分類し(両群とも症候性66.7%)、CEAで摘出した粥腫内の遺伝子発現の差異について検討した。Microarray分析による網羅的遺伝子発現検索とRT-PCRに各6例、WB解析・免疫染色による蛋白発現確認に6例使用した。高・低石灰化粥腫群の比較で、1)Log2比が1 (2倍) 以上で高石灰化群での検出call陽性、 またはLog2比が-1 (1/2) 以下で低石灰化群での検出call陽性、2)7セットの両群比較のうち、5セット以上で1)を満たすものを有意な発現遺伝子とした。血管新生・成長因子関連遺伝子として1)を満たす、175プローブセット・93転写物のうち、2)を満たしたのは、ANGPTL4(発現増強)とFGFR2(発現抑制)であった。両者はRT-PCRによる定量的検索でも有意差を認めた。また蛋白発現もWB解析、免疫染色で確認された。今回Microarray分析により、高度石灰化粥腫におけるANGPTL4の有意な発現を初めて明らかにした。ANGPTL 4発現増強は、FGFR2発現抑制とともに、主に血管新生抑制作用に関連して惹起されたものと推察され、高度石灰化頸動脈粥腫における安定性、無症候性を分子生物学的に支持する結果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までにmicroarray, RT-PCR分析等により石灰化プラークではANGPTL4の発現増強とFGFR2抑制が認められることを報告した。この過程でANGPTL4の当初予想と異なる機能、機序を得、最終年度に計画したANGPTL7についての分析を再考し、抑制系の検討も最近の進歩を踏まえ、miRNAを考慮した実験系を再立案した。
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Strategy for Future Research Activity |
最近の進歩、趨勢を踏まえた上でこれまでの本研究結果を発展、敷衍するためにmiRNAを含めた実験系での検証が不可欠と考えられている。miRNAが頸動脈プラークの進展時期により血管新生と石灰化について発現が異なることで、抑制系として働いてプラーク安定化を調節していることを、miRNA microarraty, qRT-PCRを用いて実証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度までにmicroarray, RT-PCR分析等により石灰化プラークではANGPTL4の発現増強とFGFR2抑制が認められることを報告した。この過程でANGPTL4の当初予想と異なる機能、機序を得、最終年度に計画したANGPTL7についての分析を再考し、抑制系の検討も最近の進歩を踏まえ、miRNAを考慮した実験系を再立案したため。 最近の進歩、趨勢を踏まえた上でこれまでの本研究結果を発展、敷衍するためにmiRNAを含めた実験系での検証が不可欠と考えられている。miRNAが頸動脈プラークの進展時期により血管新生と石灰化について発現が異なることで、抑制系として働いてプラーク安定化を調節していることを、miRNA microarraty, qRT-PCRを用いて実証していく。
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