2011 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋磁気刺激による皮質拡延性抑制の誘導と非侵襲的な脳虚血耐性の獲得
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23592105
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小林 正人 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60245511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 崇 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70245520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳虚血耐性 / 経頭蓋磁気刺激 / spreading depression |
Research Abstract |
動物実験を主に行った。セボフルレン吸入麻酔で麻酔導入後、全身麻酔下に脳波を記録しつつ、動物用のコイルを使用して連続経頭蓋磁気刺激(rTMS)を刺激条件(刺激強度、頻度、回数)を変化させて行った。磁気刺激前後の脳波の変化を記録し、spreading depression(SD)を誘導する条件を探索した。誘導条件は、(1)連続二連発刺激、(2)連続4連発刺激、(3)50 Hzで3連発刺激を与えるtrainを5 Hzで繰り返すtheta burstを用いて刺激を行った。また、それぞれの群において、刺激後に0.5mol KCl溶液を脳表に滴下してSDを誘発し、SDの増強の有無も検討した。現在のところ、上記の刺激条件のうち、最も強力にSDを誘発しうる刺激は(3)theta burstと考えられたが、有意な差は認めていない。現在、4日目に塞栓糸法による2時間の脳虚血負荷を与え、脳虚血による脳の障害の程度を対照群(磁気刺激せず虚血付加を与えた群)と比較し、磁気刺激の虚血に対する保護作用を明らかにするべく実験を進めている。すなわち、虚血負荷後4日後に、ペントバルビタール(100 mg/kg, i.p.)により安楽死後、迅速に脳を摘出し、梗塞体積を測定して虚血耐性効果を各群間で比較している。現在のところ、有意差は認めないものの、虚血に対する耐性が上昇する可能性が認められる。吸入麻酔薬は大脳皮質の活動を抑制するので、腹腔内投与麻酔薬(ペントバルビタールの腹腔内投与)に変更することによって、大脳皮質の活動・興奮性が上昇し、SDを導出しやすくなることも予想されるため、今後は麻酔薬を変更して行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数年前、研究代表者の所属が移動となったため、研究分担者と以前の所属にて実験を続けつつ、新たな所属場所での研究を開始した。同施設での実験器具の入手や調整などの準備に予想以上に時間を要したため、研究がやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を考慮し、麻酔法を変更してspreading depressionが出現しやすい方法を検討する。また、spreading depressionが誘発されなくとも、虚血耐性が出現している可能性も鑑み、磁気刺激の後に虚血負荷を加えてその効果を検討する。すなわち、、実験動物をrTMS群および対照群(同様に麻酔をかけた後、rTMSの刺激音のみ聞かせる群)にわけ、それぞれの刺激を与えた後、3日後に全身麻酔下に塞栓糸法を用いて中大脳動脈を一過性(120分)に閉塞する。再灌流四日後に断頭しTTC染色法により梗塞容積を測定し、それぞれの群間で比較検討し、rTMSによる脳虚血耐性の有無とその効果を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に物品費に用い、実験動物の購入、必要薬剤や消耗品の購入に充てる。前年度、やや遅れ気味であったために消耗品費や薬剤費に残金が生じた。今年度は実験のペースアップを図るため、こうした消耗品費や実験動物の購入、管理のための費用がが当初の計画より多く必要となる見込みであり、残金をもってこれに充てる。また、これまでの研究成果を発表し、新たな知見を得るために学会への参加も計画しているので旅費としても使用する。
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Research Products
(4 results)