2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代高速シーケンサーを用いたエクソーム塩基配列決定による家族性もやもや病の解析
Project/Area Number |
23592109
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
恩田 英明 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60185692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糟谷 英俊 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50169455)
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, テニュアトラック准教授 (60398807)
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Keywords | もやもや病 / 遺伝解析 / 次世代シーケンサー / RNF213 / ターゲットリシーケンス / ハプロタイプ |
Research Abstract |
もやもや病と強い関連が最近報告されたRNF213遺伝子R4810K変異は、アミノ酸置換をきたすバリアントで高い有意差とオッズ比が観察されたことから、このバリアントを含むRNF213が疾患遺伝子であると結論された。しかしながら、このバリアントによりもたらされる生物学的意味合いについては未だ不明である。この遺伝子領域では、疾患特有の強固な連鎖不平衡が隣接する複数の遺伝子を巻き込んで存在している。このことから、本研究では、以下の可能性につき精査した。(1)R4810K以上に疾患リスクを説明しうるものは他に存在せず、この変異が真の病因変異。(2)R4810Kはマーカーで、真の病因変異が遺伝子発現調節領域等に存在。(3)R4810K変異は近傍の機能的バリアントとハプロタイプを形成し、synergic effectで疾患リスクに寄与。 これらを検証するため、染色体17q25.3連鎖領域1.3MbについてR4810Kホモの検体5例のターゲットリシーケンシングを行った。1000 Genomes Projectにおける アレル頻度2%未満および新規のバリアントが3例以上で陽性であったものが15個検出された。TBC1D16~RPTOR遺伝子582kb領域に相当し、いずれのバリアントにても関連解析(患者102人 vs.対照142人)でP値が5×10-8未満の有意な関連を示した。今年度は、さらにターゲット領域の約30%に及んだオフベイト領域精査の目的で、アレル頻度閾値を20%未満に上げてマーカーを選定、ハプロタイプスキャンによる精査(患者101人 vs.対照95人)を加えた。その結果、RNF213遺伝子R4810Kを超える関連のシグナルが、隣接のENDOV遺伝子およびそのテロメア側のハプロタイプで検出された(p=8.36×10-13)。このハプロタイプ領域にはENDOV遺伝子、そして現状では転写産物の存在のみが確認されている未知の遺伝子BC033347が5’側の転写エレメントを伴ってマップされており、上記仮説(2)、(3)の存在を支持した。
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