2011 Fiscal Year Research-status Report
ガンマナイフとグリオーマ細胞吸着療法を組み合わせた効率的腫瘍根絶療法の基礎研究
Project/Area Number |
23592111
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
浅野 研一郎 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90312496)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プロティオグリカン / グリオーマ |
Research Abstract |
悪性グリオーマは脳腫瘍の中でも生命予後が極めて不良の疾患である。その原因としてグリオーマ細胞の浸潤性の強さにより、手術にて全摘したにもかかわらず約9割に局所再発を来すことが原因の1つとも考えられる。 そこでグリオーマ細胞の浸潤を防止し、一カ所に遊走沈着させることができれば効率的な治療を行うことができるという仮説のもと、著者等は腫瘍摘出術後、前処置としてグリオーマ細胞に間接的細胞接着因子増強作用があることが報告された分子標的治療薬を摘出面に塗布し腫瘍細胞を凝集させ、高濃度プロティオグリカン人工基質を重層し、グリオーマ細胞を人工基質へ吸着させ治療する実験モデルを開発し成功した。しかしこのプロジェクトの欠点として、腫瘍細胞が吸着した高濃度プロテオグリカン人工基質へは化学療法が無効であることや、手術にて摘出が必要なこと等、手間がかかる難点があった。一方、ガンマナイフは浸潤性に発育するグリオーマの治療には本来理論的に不適である。しかし腫瘍細胞を高濃度プロティオグリカン人工基質に吸着させ、この部位のみにガンマナイフを照射すれば、効率的に残存腫瘍を根絶でき、かつ周囲脳組織の放射線障害を最小限に防ぐことが可能と予想され、以下の実験を行った。1) あらかじめC6グリオーマ細胞を浸潤させておいた人工基底膜に、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の1つであるAG1478を投与し、C6グリオーマ細胞の殺細胞効果と間接的N-カドヘリン増強作用によりC6グリオーマ細胞を凝集させることを行った。 2) C6グリオーマ細胞を吸着することが確かめられている高濃度プロティオグリカンの人工基質を重層し、人工基質へ腫瘍細胞を遊走沈着させ、その遊走を定量的に確認した。 3) ガンマナイフを照射し、放射線による細胞の変化と高濃度プロティオグリカン人工基質の放射線照射による変化とAG1478の放射線増刊作用も確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の実験は終了し、概算的な結果を得ることができたが、病理標本の作成や統計学的解析が残っている分、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験行為自体は終了しているため、今後予定の実験に着手する。つまり、In vivoの実験系においてガンマナイフによる脳内高濃度プロティオグリカン人工基質の処理が安全にできるか確認する。1) ラット脳腫瘍移植モデルを作り、脳腫瘍摘出術を行う。2) 腫瘍摘出腔壁にAG1478と高濃度プロティオグリカン人工基質を注入する。3) 実際にガンマナイフを照射し、最適な放射線量を決定する。4) 病理学的に高濃度プロティオグリカン内の腫瘍細胞がガンマナイフにより処理されていることと、周囲脳組織の浮腫の状態、周辺脳組織の放射線障害がないことを確認し、in vivoの実験系の確立をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も従来の研究の継続であり、研究費の主体は実験器具、試薬に使われる。なお本年度は動物実験も予定しており、研究費を動物購入費にも当てる予定である。
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