2012 Fiscal Year Research-status Report
上行性感覚信号賦括によるヒト随意運動神経回路網機能再建についての研究
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23592112
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 政史 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00173245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 克成 群馬大学, 医学部, 助教 (10312886)
宮城島 孝昭 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40625365)
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Keywords | 機能脳神経外科学 / 機能再建外科治療 / 上行性感覚信号 / 随意運動神経回路網 / 定位脳手術 / 微小電極法 / 運動異常症 / 脳血管障害後中枢性疼痛 |
Research Abstract |
本態性振戦例6例(視床運動感覚核凝固術)、及びパーキンソン病寡動例5例(視床下核刺激術)において、術中、微小電極法により脳深部構造(視床、視床下核)での自発神経活動のlocal field potential(LFP)を記録し、さらに、同深部構造内の任意の点において脳深部構造電気刺激時の自発神経活動(LFP)を記録した。又、末梢神経(正中神経)刺激時の体性感覚誘発電位(SEP)記録を試みている。さらに、術前後でPET (FDG) studyを行い、脳深部構造刺激時に脳深部構造を中心とする随意運動神経回路網に生ずる機能の相違を比較している。一方、皮質下(視床、被殻)の小病巣に起因し疼痛、片麻痺を呈した中枢性脳血管障害後疼痛例2例(視床感覚核刺激術)において、術中、微小電極法により視床での自発神経活動(LFP)を記録し、さらに、視床内任意の点において、視床刺激時の自発神経活動(LFP)を記録した。又、末梢神経(正中神経)刺激時の体性感覚誘発電位(SEP)記録を試みている。さらに、術前後でPET (FDG) studyを行い、視床刺激時に大脳皮質を中心とする随意運動神経回路網に生ずる機能の相違を比較している。 本態性振戦視床運動感覚核凝固術例のPET study、SPM解析により、手術部視床、手術側大脳皮質中心前野、及び対側小脳半球において局所糖代謝の低下が明らかとなり、これらの構造の機能的結合から、視床刺激の影響は以上の構造に及ぶことが明らかとなった。又、脳血管障害後中枢性疼痛例では視床脳血管障害病変周囲でburst放電が多く除求心状態であることが示され、症例個々の脳内病態によっては上行性感覚信号賦括による機能再建の難しい症例が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本態性振戦例(視床運動感覚核手術)、パーキンソン病寡動例(視床下核刺激術)、及び、皮質下(視床、被殻)小病巣に起因し疼痛、片麻痺を呈した中枢性脳血管障害後疼痛例(視床感覚核手術)いずれにおいても、末梢神経刺激時に脳深部構造(視床、視床下核)での自発神経活動(LFP)変化は記録されておらず、従って、その周波数帯域別の解析も進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後手術を行うパーキンソン病振戦例、本態性振戦例(視床運動感覚核手術)、及びパーキンソン病寡動例(視床下核刺激術)において、術中、脳深部構造(視床、視床下核)での自発神経活動(LFP)を記録し、さらに、同深部構造内の任意の点において脳深部構造電気刺激時の自発神経活動(LFP)を記録すると共に、これまで手術を行い記録された自発神経活動(LFP)の周波数帯域別解析、同深部構造刺激時の自発神経活動(LFP)の周波数帯域別解析を継続していく。又、脳深部構造刺激時に脳深部構造を中心とする随意運動神経回路網に生ずる機能変化についても機能画像法を用いた解析を継続していく。 今後手術を行う皮質下(視床、被殻)の小病巣に起因し疼痛、片麻痺を呈した中枢性脳血管障害後疼痛例(視床感覚核刺激術)において、術中、視床での自発神経活動(LFP)を記録し、さらに、視床内の任意の点において視床電気刺激時の自発神経活動(LFP)を記録すると共に、これまで手術を行い、記録された自発神経活動(LFP)の周波数帯域別解析、視床刺激時の自発神経活動(LFP)の周波数帯域別解析を継続していく。又、視床刺激時に大脳皮質を中心とする随意運動神経回路網に生ずる機能変化についても機能画像法を用いた解析を継続していく。 脊髄後索-内側毛帯系の機能保存が示唆されている中枢性疼痛局所痛例(脊髄硬膜外刺激術)において、脊髄刺激時、脳深部構造、大脳皮質を含む随意運動神経回路網に生ずる機能変化について機能画像法を用いた解析を継続していく。又、これらの症例において、末梢神経刺激時に脳深部構造、大脳皮質を含む随意運動神経回路網に生ずる機能変化についても解析を継続していく。 以上の解析結果より、脊髄、末梢神経レベルでの上行性感覚信号賦活による随意運動神経回路網再建の可能性、外科治療の可能性について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの科学研究費により神経活動を解析するための支援ソフトウエア、パーソナルコンピューター、手術中に用いる記録用電極、電極コード、表面電極、ディスク、テープ等を購入した。次年度においても、引き続き脳内神経活動を記録するため、記録用電極、電極コード、表面電極、ディスク、テープ等が必須の機材であり、かつ消耗品であるため一定量の購入が必要である。又、よりスムースな神経活動記録を行うための電極ホルダーを開発、作成する予定である。さらに、PETのデータ解析を得意とする大学院生を研究チームに加えているため、その謝金を必要とする。国内外の関連学会において研究成果を発表するための旅費、研究成果を外国語論文とするための校閲費も必要である。
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Research Products
(6 results)