2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592118
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
北井 隆平 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80251990)
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Keywords | 脳腫瘍 |
Research Abstract |
前年までの検討でA172細胞株の運動能力がU87、およびT98Gに比較して高いことを見出した。細胞に外的環境を変化させ、運動能力、浸潤能力を検討した。低酸素チャンバーにて1%酸素分圧、20分間の低酸素条件にしたところ、一旦細胞は停止するが、生存した細胞は運動能力が高まることが分かった。インターフェロンによる細胞運動への影響を3日間ビデオ観察下培養で見たところ、コントロールでは細胞一個当たりの移動距離は835.1+-260.4μmが、インターフェロン2000U/mlを添加では467.7+-183.5 インターフェロン8000U/mlでは631.3+-177.0と低下した。インターフェロンの多面的作用としてグリオーマの走化性の低下を証明することができた。なお、昨年度の検討でインターフェロン2000U/mlは細胞死や細胞回転に影響を与えない濃度である。臨床例では浸潤先端を可視化するために、5ALAを指標とした浸潤先端組織ならびに大切片の腫瘍バンクを作製した。実験で浸潤細胞の密度により5ALAの蛍光強度が連続変数的に変わることを見出し、浸潤先端の定量化を行い臨床症例と合わせて学会で報告した、その結果は、肉眼では見えない蛍光強度であったとしても波長632/508nm比で0.65を超えると肉眼で蛍光陽性と判断されるが、その浸潤細胞密度は1x107cell/ml程度存在することを証明した。このような浸潤先端をいかなる方法で術中に可視化できるか、凍結迅速標本で抗Nestinや抗MAP2-13抗体免疫染色を用いて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞実験で浸潤をビデオ下に撮影し連続移動距離を測る実験を行い、実臨床で使用しているインターフェロンで細胞浸潤、特に運動能が低下することを見出した。さらなる細胞内シグナル伝達機構を解明する予定である。動物実験でも移植モデルを作製し、MRIを撮影した。浸潤能力の高いサブクローニングしたC6グリオーマ細胞を移植する予定で、宿主、腫瘍間の相互関連を解明する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験ではさらなる浸潤能力を阻害するための薬剤スクリーニングとくにRHOキナーゼ阻害とインターフェロンの細胞内シグナル伝達系に注目して解明する。臨床とのリンクを図るため、今後は摘出した大切片、浸潤先端の組織を観察し、浸潤にかかわるRHOキナーゼなどの発現を見る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文作製費用、動物実験の継続、得られた組織バンクの解析のための薬剤費用として計画通り研究費が執行される予定である。
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