2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ腫瘍幹細胞の浸潤能に関与するMUC18遺伝子を標的とした新規治療の開発
Project/Area Number |
23592131
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田村 雅一 高知大学, 教育研究部・医療学系, 講師 (40516150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 惠司 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (70116044)
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (40380323)
政平 訓貴 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (80444769)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 悪性グリオーマ / がん幹細胞 / 浸潤 / MUC18 / CD133 |
Research Abstract |
悪性グリオーマは、正常脳組織に盛んに浸潤するために完全な外科的切除が困難であり、高頻度に再発する腫瘍である。この浸潤に関わる分子を同定することは、悪性グリオーマに対する効果的な治療法を開発するために重要である。腫瘍の転移や播種は、自己複製能を保持するがん幹細胞に起因していると考えられている。しかしながら、がん幹細胞の浸潤能に関しては、十分な理解が得られていない。我々は、腫瘍の浸潤におけるがん幹細胞の役割に着目し、マウスグリオーマ細胞株から分離培養した幹細胞を多く含むtumor sphereが高い造腫瘍性と活発な浸潤能があることを示してきた。定量的RT-PCRアレイを用いた解析により、このtumor sphereの細胞では、多くの転移関連遺伝子が高発現していることが確認された。これらの遺伝子のうちMUC18/MCAMはヒトグリオーマ細胞株に由来するtumor sphereで高発現していた。悪性グリオーマ患者の手術摘出組織に由来するtumor sphereにおけるフローサイトメトリーを用いた解析により、体性幹細胞マーカーCD133やクリア前駆細胞マーカーA2B5の陽性細胞は、MUC18を発現し、分化細胞は殆ど発現しないことが明らかとなった。また、MUC18は血管内皮マーカーの一つでもあるのでMUC18陽性細胞が腫瘍内在性の内皮様細胞である可能性を探ったところ、別の血管内皮マーカーCD31は検出されなかった。悪性グリオーマ細胞においてMUC18の浸潤活性に与える影響を検討するためにMUC18を強制発現させた細胞やノックダウンした細胞株を樹立した。in vitroにおけるこれらのグリオーマ細胞株の浸潤能は、MUC18の発現と相関していた。これらの結果から、悪性グリオーマにおいてMUC18は未分化細胞に発現し、細胞の浸潤を促進する可能性が示唆された。
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