2011 Fiscal Year Research-status Report
HDAC阻害薬を併用した微量抗原を標的としたグリオーマに対する免疫療法の開発
Project/Area Number |
23592137
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 秀光 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (70363801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | glioma / MHC / HDAC inhibitor / valproic acid / IDH mutation |
Research Abstract |
グリオーマ細胞の免疫回避機構として細胞障害性T細胞(CTL)の標的分子となる腫瘍組織適合抗原(MHC)の発現の低下がある。これを克服するために、ヒストン脱水素(HDAC)阻害薬に着目した。HDAC阻害薬を作用させるとMHC発現が上昇することが知られている。グリオーマに作用させるためには血液脳関門(BBB)を超える作用をもっている必要がある。我々は神経に直接作用することで知られる抗てんかん薬に着目した。バルプロ酸は非常によく使用される抗てんかん薬であり、臨床使用されていて安全性も高い。グリオーマ細胞にバルプロ酸を作用させてMHCの発現を調べたところ、発現が上昇しそれに伴いCTLの細胞障害性が上昇することが示された。ほかの抗てんかん薬では、これまでの検討ではこのような作用がないことから、我々は免疫療法を行う症例においては、バルプロ酸を第一選択として使用することとした。本研究の結果が臨床応用に結びついたと言える。 さらに我々はグリオーマ特異抗原として変異イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)に着目した。変異IDHは、正常組織には発現していない一方で、グリオーマのうちgrade2,3および4の一部に発現しており、グリオーマの標的分子としてうってつけである。この変異は一塩基変異であり、またIDHは表面抗原でもないことから、細胞内分子を表面に抗原提示する作用を介して標的とせねばならず、その結果、CTLを用いた免疫療法がもっとも適している。そこでHDAC阻害薬との併用でこれまで困難であった変異IDHに対するCTLの誘導を試みている。 さらに我々は一塩基変異であるIDH変異を高感度、高特異度で検出できるloop hybrid法を用いて、グリオーマ剖検脳の検討を行ったところ両者が存在する症例があった。これはグリオーマの発生機序のこれまでの常識を覆す可能性があり、詳細な検討をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
IDH変異ペプチドのなかで変異部位を含んで、日本人に多いHLA-A2402,A0201に結合するものの作製が非常に困難である。HDAC阻害薬の作用を併用しても、CTLの誘導は現時点では困難であった。今後は、別のアプローチで検討する必要性がわかってきた。 また、新しいIDH変異の検出法であるloop hybrid法により、グリオーマ剖検脳の検討を行ったところ両者が共存する症例があった。両者共存症例はこれまで報告された例はなく、検討すらされていない。これはグリオーマの発生機序や進展形式についてこれまでの常識を覆す可能性があり、詳細な検討をおこなっている。もし、両者共存の症例の頻度が多数ならば、IDH変異分子を標的にする免疫療法を開発したとしても、変異有無共存症例の治療は原理的に不可能ということになる。本研究の根幹にかかわる事態であり、両者共存例の頻度を確かめる方が先決となっている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人のメジャー抗原であるHLA-A24,A2にこだわらず、マイナー抗原でも、血液提供が得られた物で今後検討する。また、ペプチド作製にこだわらず、変異IDHの配列を含んだロングペプチドを樹状細胞に取り込ませ、ハプロタイプにこだわらないCTLの誘導をこころみたい。 また、IDH変異の両者共存症例の頻度を検討する必要があり、症例数を重ねて行く必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在と同様、樹状細胞や免疫細胞の培養、誘導を行う。また、変異IDHの配列を含んだロングペプチドの作製を試みる。 また、症例数を増やして、IDH変異の検出する。
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