2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経外科手術用止血剤の開発に向けた組織接着性ハイドロゲルの安全性評価研究
Project/Area Number |
23592138
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大畑 建治 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70194264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 健 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30237507)
石橋 謙一 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50438230)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / ポリアルデヒド / ポリアミン / 架橋反応 / 止血剤 / 前臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経外科の手術においては、硬膜内出血部位の止血、硬膜欠損部位の補填、神経の接着剤として市販のフィブリン製剤が大量に使用されている。しかし、ヒトもしくは動物由来材料には感染症に対する懸念から医療現場では他の材料への置換えが切望されている。これまでにフィブリン製剤を代替する止血用接着剤、創傷被覆材料等として医療用組成物(コラーゲンなどの架橋構造体、合成高分子等)が種々検討されてきたが、これらの材料は局所的な炎症や細胞毒性を示し、また、生物適合性に乏しいものであった。また、食品添加物を原料とするデキストランとε-ポリ-L-リジン(以下、単にε-PLLとも称 する)を原料とする、架橋型シッフ塩基形成に基づく接着剤が研究されているが、ゲル強度は市販止血剤であるフィブリン糊よりも劣り、止血剤としての強度不足が懸念される。強い接着剤を有するクエン酸を活性エステル化した誘導体とコラーゲン等のタンパクを接着成分とする組織接着剤も研究されているが、活性エステル化合物は化学的に不安定であり水溶液での長期保存が不可能である。従って臨床応用には適さない。 そこで我々は、これらの問題を解決するために、生分解性・生体適合性を有する食品添加物や医薬品として使用実績のある天然高分子を使用することで安全性を確保し、さらに、ゲル強度の高いハイドロゲルを作成することによりハイドロゲル形成による組織接着効果を高める方法を確立した。 本研究では-1,3-グルカン(ダイソー社製、黒酵母産生物)由来のポリアルデヒドとε-PLL(放線菌産生物)を架橋剤により高分子量化したポリアミンからシッフ塩基結合形成による架橋反応によって形成するハイドロゲルを用い、高い安全性と機能性を有する脳神経外科手術用止血剤であることを前臨床試験で示し、臨床応用への一歩を確立することができた。
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