2011 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系悪性リンパ腫の遺伝子異常解析による病態と治療向上因子の解明
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23592140
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
塩川 芳昭 杏林大学, 医学部, 教授 (20245450)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 脳腫瘍 / 遺伝子解析 / 予後因子 / 治療感受性 / Germinal center / MGMT |
Research Abstract |
2000年以降、杏林大学病院脳神経外科等において手術が施行され、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)と病理診断された39例(男:女=26:13; 平均年齢61歳)について、B細胞のgerminal center (GC)での分化を規定する各因子:Bcl2, CD10, Bcl6, Mum1とその分化分類;GC type、non-GC typeを、組織免疫染色により検討した。判定可能であった結果では、Bcl2陽性率:19/21, CD10陽性率:9/23, Bcl6陽性率:21/22, Mum1陽性率:23/24, GC:non-GC = 10:13であった。また、悪性神経膠腫に対する標準治療薬であり、JCOG脳腫瘍グループで予定しているPCNSLに対する新規の臨床試験で使用するtemozolomide (TMZ)感受性の主因子であるMGMTのプロモーター領域メチル化に対してはMSP法にて解析し、メチル化(M):非メチル化(U)は11:18であった。さらに、MTXに対する感受性因子の一つであるRFC遺伝子のメチル化解析では、M:U = 4:13であった。全症例における全生存期間(overall survival; OS)の中央値(mOS):41.1ヶ月であった。GC分化関連因子とOSの関係の検討では、Bcl2, Bcl6, Mum1は陽性・陰性の分布が非常に偏っていたこともあり、全ての因子ならびにGCまたはnon-GCの分類においても、OSに対する有意な影響は検出できなかった(p=0.248)。MGMTメチル化におちても有意差は認められなかったが(p=0.611)、これらの症例ではTMZ治療を施行されていないことから妥当と考えられる。今後、さらに症例を追加、今回解析に含まれなかった他の因子(KPSなど)を含めた解析を展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
JCOG脳腫瘍グループにおける中枢神経系原発悪性リンパ腫の臨床試験計画が現在プロトコール審査に向けての最終準備中であり、症例登録は今年度後半にずれこむものと予想されていること。本研究室に保管している腫瘍標本を用いた解析では、メチル化特異的PCRアッセイが安定してない遺伝子が多く、その条件設定を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、腫瘍標本から治療感受性規定因子の解析を進める。特にPCR以外のアッセイ法であるWestern blot法ならびにGerminal center関連蛋白以外の因子に対する免疫染色など、遂行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.2000年以降,当科にて診療をおこなったPCNSL症例(他院で手術され、確定診断後当院でその後の治療を行った症例も含む)で、手術検体(摘出された凍結標本、あるいは既に標本から抽出されたDNA、RNA、蛋白も含む)やホルマリン固定された永久標本(生検材料を含む)を確認する。後者においては、当院病理学の研究協力者(菅間博准教授、原由紀子助教)との協力により、必要に応じた未染プレパラートの作成などを行う。当院においては手術摘出された腫瘍標本は,腫瘍の凍結標本あるいはgenomic DNAが保存されており,これらの標本を用いた本研究の遺伝子検索が可能な状況にある.(本学医学部倫理委員会にて承認されている)2. PCNSLにおける予後因子、治療関連規定因子の発現・遺伝子異常と、症例の治療効果度、生命予後との関連を統計解析(Kaplan-Meier法、Logrank検定、因子間の相関解析など。SPSS ver 20.0を使用予定)し、有意な因子に関しては多変量解析を行い、独立した有意因子を抽出する(Cox proportional hazard regression解析など)。3.他施設(国立がん研究センターなど)の症例によるvalidation解析を検討する。当院症例標本では不十分な場合、追加症例として、解析に当てる。4.凍結標本を用いた腫瘍遺伝子変異に対する網羅的解析を、研究協力者の間野博行教授(自治医科大学ゲノム機能研究部)の協力を得て開始する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Reduced Estimated Glomerular Filtration Rate is Associated with Stroke Outcome after Intravenous rt-PA:The Stroke Acute Management with Urgent Rsk-Factor Assessment and Improvement (SAMURAI) rt-PA Registry2011
Author(s)
Naganuma M, Koga M, Shiokawa Y, Nakagawa J, Furui E, Kimura K, Yamagami H, Okada Y, Hasegawa Y, Kario K, Okuda S, Nishiyama K, Minematsu K, Toyoda K
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Journal Title
Cerebrovasc Dis
Volume: 31
Pages: 12-129
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[Journal Article] Early Ischemic Change on CT Versus Diffusion-Weighted Imaging for Patients With Stroke Receiving Intravenous Recombinant Tissue-Type Plasminogen Activator Therapy2011
Author(s)
Nezu T, Koga M, Nakagawara J, Shiokawa Y, Yamagami H, Furui E, Kimura K, Hasegawa Y, Okada Y, Okuda S, Kario K, Naganuma M, Maeda K, Minematsu K, Toyoda K
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Journal Title
Stroke
Volume: 42
Pages: 2196-2200
Peer Reviewed
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