2011 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴う髄液のクリアランス低下により惹起される認知機能障害の病態解明と治療
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23592142
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60200177)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | LRG1 / 特発性正常圧水頭症 / アストロサイト / 神経細胞 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
髄液のクリアランスの低下は特発性正常圧水頭症(iNPH)の発症のみならず、ベータアミロイドなどの有害物質の脳からの排泄が障害され、認知機能障害の原因として注目されている。老化に伴いアストロサイトに発現が増加している。leucine-rich alpha-2-glycoprotein (LRG1)に着目し、老化による髄液のクリアランス低下の原因が、加齢によるアストロサイトのLRG1発現の増加に起因していることを証明することを目的とする。本年度は1.iNPHとアルツハイマー病(AD)剖検脳を免疫組織染色的検討:LRG1は大脳皮質深部の常在性アストロサイトの細胞質及び突起と小脳のプルキンエ細胞に免疫反応を認めた。加齢によりLRG1陽性細胞は増加し、一方水チャンネルAQP4陽性細胞は減少していた。iNPHではADと比較してLRG1陽性細胞は増加していた。2.マウス脳におけるLRG1の局在と加齢による変化:マウスLRG1の抗体を作製し、マウス脳におけるLRG1の発現を免疫組織染色とLRG1 遺伝子の発現をインサイチュウハイブリダイゼイション法にて検討した。その結果、大脳皮質ではヒトとは異なりアストロサイトよりもむしろ神経細胞に発現を認めた。若年マウスと老齢マウスにその発現の増加を認めた。3.LRG1過剰発現トランスジェニックマウスの作製:LRG1過剰発現マウスは、重度な運動失調を呈した。形態学的には海馬及び小脳の形成障害を認めた。LRG1は脳の老化のみならず、脳の発達にも重要な役割を演じていることが推定された。本研究の目標達成により、脳の老化のみならず脳の発達に新たな知見を与えるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LRG1過剰発現マウスの作製に成功したが、このマウスは生直後の死亡または死産が多く、運動機能解析と細胞培養の為の個体を十分に得ることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初マウスのLRG1の発現はヒト同様に大脳のアストロサイトと予想していたが、むしろ神経細胞に発現を認め、脳の老化のみならず発達にも重要な役割を演じていることが推定された。LRG1の発現が比較的弱い系統のマウスを用いて解析を継続する。更に研究対象をマウスのみならず、ヒトの培養アストロサイトを用いることにより、ヒトの老化脳におけるLRG1の機能の解明も加えて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、トランスゲニックマウスの病理学的並びに運動機能解析を行う。並びにヒトアストロサイトの培養を行い、LRG1 を過剰発現し、アストロサイトに発現する遺伝子をマイクロアレイを用いて解析する。
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Research Products
(3 results)