2012 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴う髄液のクリアランス低下により惹起される認知機能障害の病態解明と治療
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23592142
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60200177)
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Keywords | LRG1 / neurodegeneration / transgenic mouse |
Research Abstract |
本年度は昨年度作成した脳に特異的にleucine-rich α-2-glycoprotein 1 (LRG)を過剰発現するtransgenicマウス(Tg)の中で、運動機能の障害のないLRGの発現が比較的軽度なTgマウスを対象として、病理組織学的に解析した。正常マウス(WT)ではLRGは大脳皮質、基底核、視床、視床下部、脳幹の神経細胞とグリア細胞に、小脳のプルキンエ細胞、グリア細胞と小脳核の神経細胞に広範囲に発現を認めた。更に、加齢とともにその発現が増加していた。生後8週齢のTgはWTと比較して小頭を呈していたが、肉眼的な脳の形態の異常は認めなかった。Tgの大脳皮質は6層構造は保たれていたが、WTと比較して非薄化し、細胞数の減少を認めた。組織学的には生後8週齢のTgの大脳皮質では、リン酸化タウ陽性の神経細胞とグリア細胞を多数認め、多くの神経細胞の樹状突起は太く蛇行しており、神経原性変化を疑わせる所見を呈していた。生後1年のTgは、同年齢のWTと比較して、更に大脳皮質は非薄化し、軽度側脳室の拡大を認め、大脳萎縮を呈していた。LRGの過剰発現により、神経細胞変性の促進、神経細胞の減少とグリア細胞の活性化を呈する事は、LRGは脳の老化を促進する蛋白である事が初めて明らかになった。ヒトにおいても高齢者や神経変性疾患の大脳皮質では、LRGの発現は増加しており、LRG発現を制御することにより、脳の老化を防止できる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LRG1を過剰発現するtransgenic mouseの作成に成功し、このモデルマウスの神経病理学的解析が概ね予定通りに進行している。次年度の行動実験の準備も整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成したtransgenic mouse(Tg)の各種の行動解析テストを行う。具体的には、8週齢のTgマウスと正常マウスを対象として、モーリス水迷路テスト、Y迷路テスト、ステップスルーテストを行う。モーリス水迷路テストの測定項目は遊泳時間、遊泳距離、遊泳速度、ゴール部横切り、滞留時間比率、遊泳時間比率、遊泳距離比率、ゴール到達判定、ゴール到達時間を、Y迷路では平均反応率と平均反応潜時を測定し、得られたデータに関して3元配列による分散分析と各セッションにおける群間比較を統計学的に検討する。 この研究結果を英文で国際誌に報告する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
行動解析テストは施設内にある既存の解析装置を使用するが、Y迷路とステップスルーテストの部品を購入する。その他この研究結果の論文の英文校正と国際学会への参加費にあてる。
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