2011 Fiscal Year Research-status Report
神経性間欠跛行を再現するfictive実験モデルの開発
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23592151
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 間欠跛行 / 異所性興奮 / 馬尾血流 / 動物モデル |
Research Abstract |
本年度はラット80匹において実験を行った。シリコン片(2x1x4mm)を第3腰椎レベルの硬膜外腔に挿入して1週間経過した腰部脊柱管狭窄症モデルを用いた。 非動化した動物において神経性間欠跛行と判定できる現象を再現するため以下順に確認作業を行った。(1)異常感覚の評価として、後肢純知覚神経である腓腹神経より逆行性の活動電位が記録できるシステムを構築した。スパイクカウンターを使用して活動量を定量的に評価できた。(2) 馬尾圧迫を定量的に負荷するための脊椎固定と定量的圧迫装置の設定を行った。予め挿入したシリコン片を部分的に露出し、その部分をニードル型のレーザードップラープローブ先端で定量的に圧迫負荷を加えるとともに、シリコン直下の馬尾血流を同時に計測できるシステムを構築した。(3) シリコンを背側から圧迫0.5-1.0mmによって直後から馬尾血流の低下を生じ、その後10-30秒程度の潜時をもって漸増性の神経活動増強を認めた。圧迫負荷60秒にて圧迫を解除すると馬尾血流の回復をとともに神経活動は元の状態に戻った。この現象をくり返し観察することができた。さらにシリコン圧迫負荷と同時に坐骨神経の高頻度電気刺激を負荷すると、神経活動の増大現状はさらに増強された。(4) シリコン圧迫負荷による神経活動増強は予めシリコンを挿入しなかった対照動物では生じないことを10匹の動物で確認した。これらの成績は神経性間欠跛行の神経機序を再現したと判断する根拠として充分だと思われた。 次年度に研究を展開するにあたって、馬尾血流と低酸素負荷の関係からautoregulationの解析を行う予備実験を開始した。また神経性間欠跛行時に生ずる運動系の神経機能変化を解析するための予備実験も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より多い80匹の実験を問題無く行えたので、実験システムの稼働状況として充分に効率の良い環境を維持できた。実験目的として挙げた神経性間欠跛行の神経機序の条件として挙げた知覚神経系由来の異所性興奮を逆行性に導出記録し、定量的評価もリアルタイムに可能であった。計測に用いる腓腹神経も適切な選択であった。負荷として加える馬尾圧迫のシステムもマイクロマニピュレーターを用いて定量的に再現性高く作動することを確認できた。馬尾圧迫負荷によって得られた神経活動の反応は、負荷後に潜時をおいて漸増性に増大し、負荷解除後に速やかに元に戻る様式で、間欠跛行の神経機序を再現しているとして矛盾のないものであった。 一方、現象の発現率が腰部脊柱管狭窄モデル動物の70%となったため、より高い再現性を得るための動物モデルの修正の要否については検討することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立した神経性間欠跛行モデルをもとに以下の研究を順に行う。 まず、人工呼吸の吸気を100%酸素に変換した上でシリコンによる馬尾圧迫の反応を観察し、酸素を投与しなかった場合の反応との違いを観察する。逆に人工呼吸器を停止した窒息負荷を同時に加えた場合の反応の変化も同様に観察する。このことによって、馬尾の酸素供給、すなわち生体内では循環動態が神経性間欠跛行の出現にどのように関与するかを明らかとすることができる。 次に、馬尾の酸素濃度と血流量を同時に計測できるシステムを確立し、馬尾の血流のautoregulationの現象と酸素濃度との関係を解析する。このことが、腰部脊柱管狭窄症における神経異常興奮発現との関係を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要な基本的システムはすでに構築しているため、備品の購入の必要はない。研究費の使途としては、動物実験に関する消耗品類・薬品の購入、酸素濃度計測に関する専門プログラムの操作についての技術的支援に対する謝金、学会発表に要する旅費の構成となる。
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Research Products
(2 results)