2012 Fiscal Year Research-status Report
神経性間欠跛行を再現するfictive実験モデルの開発
Project/Area Number |
23592151
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
|
Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 間欠跛行 / 異所性興奮 / 馬尾血流 / 動物モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は神経性間欠跛行の臨床症状の特性をふまえた動物モデルを提案し、その妥当性を検証することである。前年度において神経性間欠跛行と判定できる現象を再現するため、異常感覚の指標となる腓腹神経の逆行性活動電位を記録できるシステムを構築した。そして臨床で見られる馬尾圧迫の増強とともに間欠跛行ときわめて類似したパターンの神経活動を誘発し、神経性間欠跛行の神経機序を再現したと判断した。 本年度においては、この現象をもとに、神経性間欠跛行の機序の解明を進めた。特に馬尾圧迫の増強における馬尾血流動態の関与について注目した。ラット104匹の実験を行った。シリコン片(2x1x4mm)を第3/4腰椎レベルの硬膜外腔に挿入して1週間経過した腰部脊柱管狭窄症モデルを用いた。先ず、尾側の馬尾血流変化をレーザードッブラー装置あるいは酸素濃度で計測すると、シリコンの圧迫の際に低下することが確認できた。馬尾血流の動態の関与をさらに解析するため、シリコン圧迫の際に低酸素を同時に負荷すると、神経活動の変化が有意に増大した。一方、高酸素を同時に負荷した場合には、神経活動の変化が有意に抑制された。さらに馬尾血流を増大させる作用を有するプロスタグランディン製剤を投与すると、圧迫による反応は抑制される傾向を認めたこれらのことから、間欠跛行の発現には馬尾血流を介した酸素供給の要素が大きく関わっていることが推察できた。 次の疑問は、知覚神経の異常活動の起源となる部位と血流動態の関係であり、異所性発火の発現部位は狭窄部の馬尾軸索と後根神経節の可能性があり、次年度に確認作業を行う。また、神経性間欠跛行時に生ずる運動系の神経機能変化を解析するための予備実験も開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より多い104匹の実験を問題無く行えたので、実験システムの稼働状況として充分に効率の良い環境を維持できた。 実験目的として挙げた神経性間欠跛行の神経機序の条件として挙げた知覚神経系由来の異所性興奮を逆行性に導出記録し、定量的評価も安定的に遂行できた。負荷として加える馬尾圧迫のシステムもマイクロマニピュレーターを用いて定量的に再現性高く作動することを確認できた。馬尾圧迫負荷によって得られた神経活動の反応は、負荷後に潜時をおいて漸増性に増大し、負荷解除後に速やかに元に戻る様式で、間欠跛行の神経機序を再現しているとして矛盾のないものであり、馬尾血流との関連がさらに強く支持される結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立した神経性間欠跛行モデルをもとに以下の研究を順に行う。 間欠跛行の現象が知覚神経系のみの異常なのか、あるいは運動系の神経活動にも影響しているかを解明したい。また、間欠跛行において発現する異常神経活動がどの部位から発現しているかをさらに明瞭として、臨床的治療との関係を検討してゆく必要がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(4 results)