2012 Fiscal Year Research-status Report
脊柱靱帯骨化症における脊柱靱帯および皮膚由来細胞の骨化機序の解明
Project/Area Number |
23592152
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
沼沢 拓也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80396407)
|
Keywords | 幹細胞 / 靱帯 / 皮膚 / 異所性骨化 |
Research Abstract |
平成24年度は靱帯および皮膚から細胞の単離培養実験を行い、靱帯細胞で間葉系幹細胞のminimal criteriaを満たすことが証明できた。骨化巣における間葉系幹細胞の局在をを明らかにするために、骨化靱帯および非骨化靱帯に対して免疫組織学的な検討を行った。 初代培養細胞のフローサイトメトリー解析により、CD73,CD90,CD105が陽性かつCD34, CD45, CD14, CD19, HLA-DR陰性である間葉系幹細胞と同様の細胞表面マーカー発現を認めた。また均一な細胞間での性質比較のため、CD34陰性かつCD105陽性細胞をセルソーティングで抽出して培養を行った。培養では靱帯および皮膚細胞の両者で線維芽細胞様細胞の増殖とコロニー形成を認めた。単細胞培養によるコロニー形成能の評価では骨化症患者と非骨化症患者間に有意差を認めなかった。骨分化誘導培地による培養で、BMP-2, Runx2, ALPの発現比較をしたところ、骨化症患者では靱帯細胞、皮膚細胞ともに発現量が多く、骨分化能が高いことが証明された。3次元培養では軟骨基質形成をAlcian Blue染色で証明し、骨化症患者の靱帯細胞で形成されたペレットから軟骨基質形成能が高いことが証明された。 靱帯細胞における間葉系幹細胞の細胞表面マーカーの局在について二重免疫蛍光染色を行った。骨化靱帯では多数の血管新生を認め、血管周囲にマーカーの局在を認めた。また靱帯実質部にもマーカーの局在を認め、その発現率は骨化靱帯で高くなっていた。また骨化前線周辺では、マーカーを発現する軟骨芽細胞様細胞が観察された。皮膚においても靱帯細胞と同様に血管周囲にマーカーが発現しているか現在確認中である。 患者遺伝子サンプルについては、画像と遺伝子型との関連について解析中であり、さらに靱帯および皮膚細胞の性質との関連性について調べているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は分子生物学的研究では、後縦靱帯骨化症患者においては靱帯細胞、皮膚細胞の骨分化能が高いことを証明した。免疫組織学的検討により、骨化および非骨化脊柱靱帯における間葉系幹細胞の局在を同定した。 遺伝子学的研究ではSNP解析を行ったが、過去に報告されている結果と異なること、全体としては患者およびコントロール間に差異を認めず、患者ごとの画像や細胞情報と照らし合わせて検討している段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子生物学的アプローチでは、培養実験で靱帯細胞および皮膚細胞を骨化誘導し、カルシウム沈着と骨化関連遺伝子発現のより詳細な特徴を明らかにする。免疫組織学的アプローチでは、骨化黄色靱帯におけるサイトカイン局在を明らかにし、間葉系幹細胞との相互作用について関連があるか証明する。またこれら基礎研究で得られた結果と骨化形態、骨化範囲などの臨床データとの関連性を見つけ出す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
間葉系幹細胞、サイトカインの抗体染色、誘導培養に使用する成長因子に関わる材料費用に使用する予定である。
|