2011 Fiscal Year Research-status Report
難治性慢性疼痛における遺伝子のエピジェネティック制御機構の病態解明
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23592157
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大河 昭彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30312945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 淳 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (20344997)
山崎 正志 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50281712)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 坐骨神経結紮モデル / BMP / Noggin / マイクロアレイ / RT-PCR / Western blot / グリオーシス |
Research Abstract |
脊椎疾患、脊髄損傷などで続発する神経障害性疼痛は難治性であり、臨床の現場で治療は困難を極めている。今回の研究では神経障害性疼痛の原因を坐骨神経結紮モデルにより解析し、アストロサイトのグリオーシスを含むシグナル伝達機構のより上流を明らかにしたうえで、そのシグナルを阻害することにより疼痛軽減が得られるか検討したいと考えた。第一に坐骨神経結紮モデルラットと、コントロールを比較してマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。3アレイ実験ですべて2倍以上の差異がある遺伝子、またはt-testにおいて有意であった遺伝子の中でグリオーシスや炎症細胞に関係する遺伝子をピックアップした。マイクロアレイデータをコンファームするためup-regulated遺伝子7個、down-regulated遺伝子5個をピックアップしReal-time RT-PCRを行った。更に、BMP2/3, Smad1, P-smad1, Opioid receptor-like1, NogginについてWestern blotを行いRNA実験と相関があるか検討した。IGF-1, PAP, Timp3, Aquaporine4, CD38, CD68の4遺伝子が発現増加で、 Opioid receptor-like1, Nogginの2遺伝子が発現低下でReal-time PCRにおいてコンファームされた。発現増加遺伝子はアストロサイトや免疫細胞に関する遺伝子であり、発現低下遺伝子のNogginはBMPのアンタゴニストであることから、BMPシグナルの相対的活性化からグリオーシスが促進され神経障害性疼痛につながったと考えた。Western blotは現在結果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイ実験、RNA実験は終了し、現在Western blotを行っている。それぞれの実験で有意な遺伝子候補が得られており、今後の解析が期待できる。DNAのメチル化については、有意な遺伝子候補がDNAのメチル化に関与していないという結果が得られており、やや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ、RT-PCRで有意な遺伝子候補であるNoggin, Opioid receptor like-1, CD38, CD68, Aquaporin4, IGF-1 はCpGアイランドを有さないつまり、メチル化には直接関与しない遺伝子であるということがわかったため、メチル化についての今後の実験を修正する必要がでてきた。候補遺伝子の中でNogginはグリオーシスや軸索伸展に関与するBMPの拮抗物質であり、当遺伝子の発現量が減少したということは、相対的にBMPが増加したと考えられ、今後の研究でBMP発現の増減を明らかにしたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
坐骨神経結紮モデルラットにおける遺伝子発現を突き詰める上で、Noggin、BMP4、BMP4の細胞内転写因子であるSmad1の蛋白発現について、Western blot法にて調べる。特にRNA発現が低下していたNoggin蛋白が減少しているかどうか、レセプターアンタゴニストのBMP4が増加しているかどうかは興味深い。抗体はAnti-Noggin(Santa Cruz)、Anti-BMP4(Santa Cruz)、Anti-p-Smad1(Cerotec)を用いて行う。 Nogginの局在については坐骨神経結紮後、2週時点で還流固定し、組織切片を作成、蛍光免疫染色にて調べる。定量はオリンパスのFSX100蛍光顕微鏡を用いて定量する。 上記たんぱく質の局在にもよるが、正常ラットのくも膜下くうにAlzet pumpを使用してNoggin, BMP4蛋白を持続注入し、アロジニアが生ずるかどうか調べる。これらの結果により、坐骨神経結紮モデルラットにBMP4かNogginどちらを注入すべきか判断する予定。
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