2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラット腕神経叢損傷モデルにおける疼痛発生機序の解明と新規薬物治療の可能性
Project/Area Number |
23592158
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
國吉 一樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40375788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鳥 精司 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40361430)
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Keywords | 腕神経叢損傷 / 疼痛 / microglia / astrocyte / satellite cell |
Research Abstract |
H24年度までにラット腕神経叢節前損傷(BPA)モデルにおける疼痛発生機序(1)の一端を明らかにすると同時に障害部位へのp75NTR抗体の直接投与の疼痛軽減効果(2)を明らかにした.H25年度は臨床例におけるより簡便な投与方法として,全身投与を検討する目的でp75NTR抗体の腹腔内投与の効果(3)を検討した.(3)の方法としては下神経幹を引き抜き1週間後に生食を投与したBPA群,下神経幹を引き抜き1週間後に抗p75NTR抗体を用量別に1.0μl,50μl 腹腔内投与したp75 1.0群,p75 50群を作成.疼痛行動評価はvon Frey testにより経時的に施行.免疫組織染色は投与後3日目、15日目 に脊髄C7および右C7DRGを採取し評価.脊髄ではGFAPおよびIba1で染色,DRGではGFAPで染色した.結果,行動評価では抗p75NTR抗体投与群で有意に疼痛過敏が減少した.免疫染色ではIba1陽性microgliaおよびGFAP陽性astrocyteは15日目にBPA群に比べ両濃度群で有意に減少した.DRGにおけるGFAP陽性神経細胞は3,15日目で両濃度群で有意に減少した.(1), (2)を含め結果をまとめると,(1)BPA群においては損傷側のC3-T3脊髄ではglia細胞の活性化がみられることから非損傷レベルにおけるglia活性が疼痛伝達に関与している可能性が示唆され,(2)p75NTR抗体の障害部位への局所投与はそのglia活性を抑制し,疼痛軽減効果を示すことが示唆された.(3)またp75NTR抗体投与の効果は全身投与においても有効であることが示唆された.本研究の意義は日常診療において非常に難治である腕神経叢損傷患者の神経障害性疼痛に対する薬物治療において一定の方向性を示した点にある.
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