2011 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子と上皮成長因子(EGF)受容体制御による末梢神経再生
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23592160
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
若林 良明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00431916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 光裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90451971)
大川 淳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30251507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経再生 / 上皮成長因子受容体 / 神経栄養因子 / 末梢神経損傷 |
Research Abstract |
本研究初年度は、1) in vivoモデルを用いて神経損傷後の損傷遠位部での上皮成長因子(EGF)と受容体(EGFR)の発現パターンを分子生物学的手法で定量化し、2)末梢神経損傷・再建モデルの作製を行い、神経再建後の経時的な運動・知覚機能について解析した。ラット坐骨神経遠位部を展開し腓骨神経を露出させ分岐部で切断し、腓骨神経断端を近傍の筋層に埋めて3週間後に同部を摘出してリアルタイムPCR法を用いて解析した。EGFおよびEGFR mRNAは正常腓骨神経組織での発現はわずかで切断後3週経過した組織では正常組織と比較してそれぞれ約3倍、1.3倍の発現増加を認めた。このことは、神経切断に伴い変性が進行しEGFおよびEGFRが過剰に発現している状況で分子機構は明らかではないが、EGFR阻害薬による治療効果が見込まれる結果と考えている。今後、EGFRの発現がどの細胞(シュワン細胞、マクロファージ、繊維芽細胞)で発現しているのか解析を進める予定である。次に腓骨神経切断3週で遠位断端を脛骨神経に縫合するモデル(端側吻合)と切断直後に縫合する(一次縫合)モデルを作製し、運動・知覚検査を経時的に行いモデル間での比較を行った。運動機能は、一次縫合群のほうが早期に回復するが、端側吻合であっても縫合後4週経過すると運動機能は徐々に回復し、最終的に一次縫合群の運動機能スコアと同じになった。知覚機能検査では、端側吻合群の場合、切断から3週経過しており縫合前から足底の知覚過敏が観察された。しかし、縫合から8週経過すると知覚過敏状態は改善されることが分かった。次年度は、端側吻合モデルを利用してEGFR阻害薬を用いることでより早期の運動機能回復と知覚過敏状態の改善を指標として研究を進める予定である。また、EGFRの役割についても詳細に明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度は、1)末梢神経損傷後の安定した神経再建(端側縫合)モデルの作製と組織評価、2)神経損傷時および神経再建(端側縫合)後におけるEGFRの役割について解明することであった。初年度は、腓骨神経切断後、脛骨への端側縫合を行い経時的な運動・知覚機能検査で神経機能回復を確認し、安定した末梢神経再生モデルを作製することができた。さらに脛骨神経が端側吻合することで過敏状態になることが明らかとなった。しかし、組織学的評価は不十分な状況で次年度に解析する必要がある。分子生物学的解析では、神経損傷時にEGF、EGFRの発現が増加していたことから神経変性時に重要な分子であることが明らかとなり来年度へのEGFR阻害薬の有効性を示す基礎データになり得る。
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Strategy for Future Research Activity |
損傷神経全体にEGFやEGFRのmRNAの発現が高くなることは明らかとなったがタンパク質レベルでの解析がされていない。今後、Western Blottingによる発現量の定量や免疫染色による局在を確認する必要がある。他の栄養因子であるBDNFやNT-3の関与も予想されるため解析を進めていく。神経再生におけるミエリン数の変化や神経トレーサによる組織学的解析が不十分で今後研究を進める必要がある。さらにEGFR阻害薬の有効性についてin vivoモデルを用いて有効性について解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラット神経損傷および神経再建モデルを作製するために購入、飼育費が必要な予定である。さらに電子顕微鏡によるミエリン染色や免疫染色を行う抗体や消耗品購入が必要となる。また、EGFR阻害薬と薬剤供給のためのミニポンプを購入し、動物実験を進めていく予定である。適宜、mRNAの発現解析を行うため分子生物学的解析用の試薬購入が必要である。神経損傷時のEGFおよびEGFRの役割について解析が終了した時点で国内・外で研究報告を行う予定である。
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Research Products
(5 results)