2011 Fiscal Year Research-status Report
椎間板のアンチエイジングを具現し得る新しい生物学的治療の開発
Project/Area Number |
23592162
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮本 敬 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20313885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 克時 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90170969)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 椎間板 / アンチエイジング / 変性 / 炎症 / サイトカイン / カルパイン / 脊椎 / 3次元培養 |
Research Abstract |
本研究においては椎間板のアンチエイジングを可能とする治療を探索する目的にて,ウシ尾椎より採取した椎間板細胞の3次元培養系を用い,椎間板老化をシミュレートした変性状態を炎症性サイトカイン(インターロイキン)を培養液に添加する手法にて実験を行った.椎間板細胞の3次元培養系において,インターロイキンの添加は,MMP3等の炎症マーカー,そしてカルパインの培養液中への遊出を助長し,かつ,細胞外マトリックス蓄積を抑制しており,椎間板老化モデルとして有用であると思われた.椎間板変性を抑制,すなわち,このモデルにおいて炎症を抑制する要素として,まずは入手可能な非ステロイド性抗炎症薬を2種(インドメサシン,セレコキシブ)を用いた.両薬剤ともに生体使用をシミュレートした濃度において,細胞活性(細胞数,生存細胞率)には大きな影響を与えなかった.インターロイキン添付状態において,非ステロイド性抗炎症薬を併せて添加した場合,炎症状態でみられた所見であるMMP3等の培養液中への遊出,細胞外マトリックス蓄積の現象等が若干緩和される所見であった.また,カルパインの培養液中への遊出も非ステロイド性抗炎症薬によって抑制される結果であった.以上より,非ステロイド性抗炎症薬の作用が椎間板細胞における細胞外マトリックス異化のプロセスを抑える方向に働いていることが推察され,カルパインに対する働きも有しているものと推察される.次のステップとして,カルパインのインヒビターを入手,作成し,カルパインを選択的に阻害する効果を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroでの椎間板老化モデルにおいて椎間板変性を抑制する要素として,まずは入手が比較的容易である非ステロイド性抗炎症薬を2種(インドメサシン,セレコキシブ)を用いた.本来の目的であるカルパインのインヒビターについて,まだ安定した製剤が完成しておらず,その完成を待って次の実験系にすすめていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの椎間板老化モデルにおいて用いるカルパインのインヒビターについて,できるだけ早期に安定した製剤が作成,入手し,次の実験系にすすめていきたい.可能であれば,ヒト椎間板を用いた実験系,また,家兎等を用いたin vivo研究を行っていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウシ尾椎,そしてヒトの腰椎手術より得た椎間板サンプルより採取した椎間板細胞の3次元培養系を用い,椎間板老化をシミュレートした変性状態を炎症性サイトカイン(インターロイキン)を培養液に添加する手法にて実験を行う.カルパインのインヒビターを作成,入手し,この変性モデルに添加することにより,炎症性マーカーの遊出,細胞外マトリックスの蓄積等に与える影響を定量化する.また,細胞外マトリックス破壊の指標としてカルパインが切断する断端を認識する抗体を用い,半定量的に(ウエスタンブロット,免疫染色)検討を行う.
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