2013 Fiscal Year Annual Research Report
末梢絞扼性障害における術中神経栄養血管造影を用いた神経内除圧範囲の研究
Project/Area Number |
23592171
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡田 充弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40309571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 聖仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30295688)
上村 卓也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (10597321)
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Keywords | 整形外科学 / 筋・神経病学 / 末梢神経絞扼性障害 / 電気生理学的検査 / 血管造影 |
Research Abstract |
末梢神経絞扼性障害において、慢性的に末梢神経へ機械的刺激が加わると、神経束内・外の線維化が起こることが知られている。この線維化のため神経内の血流障害が発生し、神経・血管関門が破綻する。破綻することで神経束内浮腫が発生し、この浮腫により、神経束内圧が上昇し、更に神経内の血液循環が悪化する。末梢神経絞扼性障害の重症例では、上述の破綻のサイクルが繰り返され、神経上膜・周膜の線維化が高度となり、神経自体の線維化により神経束内・外の血流循環障害が発生していることが予測される。しかし現在では、末梢神経絞扼性障害に対する外科的手術は、機械的刺激の原因となる靱帯や骨性組織等の切離や切除のみ行われており、神経組織の線維化による神経の圧迫について評価および外科的処置は行われていない。この理由として、手術中に神経の微細な血流を評価する方法がなかったことが挙げられる。 本研究では、外科や脳神経外科で局所微小循環の評価に利用されている赤外蛍光画像装置を用いて神経内の血流を評価した。方法として、末梢神経絞扼性障害重症例を対象とし、機械的刺激の原因となる靭帯等の圧迫を取り除いた後、神経絞扼部で神経上膜を切除することで神経組織の線維化による神経の圧迫を取り除き、神経上膜切除前後で赤外蛍光画像装置を用いて神経の血流の変化を評価した。血流評価と同時に、電気生理学的検査も行い、神経の回復についても評価した。 結果は、神経上膜切除後に神経内の血流の増大を認めた。また電気生理学的検査においても、経時的に回復を認めた。これらの結果から、末梢神経絞扼性障害重症例では、機械的刺激の原因だけではなく、神経組織の線維化による神経の圧迫も取り除く必要があることが示唆された。また、赤外蛍光画像装置は、神経の血流評価に有用であり、臨床応用可能であることが証明された。
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