2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592177
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本宮 真 北海道大学, 大学病院, 助教 (10571010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 倫政 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322803)
西田 欽也 北海道大学, 大学病院, 助教 (10567374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 同種複合組織移植 / 同種肢移植 / 移植免疫 / T細胞補助シグナル / ラット |
Research Abstract |
H23年度の研究目標は、1)ラット同種肢移植モデル(最も強い組織不適合性を示す組み合わせ:ドナーはACIラット、レシピエントはLewisラット)を作製し、移植後評価方法を確立すること、2) 遺伝子工学的手法によりcostimulatory signalの代表的系であるCD28/B7系をブロックするCTLA4Ig蛋白を精製し、同種移植モデルへ単回投与による拒絶反応の抑制効果を判定すること、である。1)に関しては、vehicle投与群では移植後平均9日目で拒絶反応(外観上の移植片のeschar formationの形成)を生じることを確認した。移植後評価は組織切片を作製し、Buttemeyerらの病理組織学的スコアによる評価を採用した。2)に関しては、CTLA4Ig単回投与群では、20日程度まで生存可能であり、有意に生存期間が延長することが明らかとなった。また、CTLA4Ig投与のタイミングにより生存期間が変化する傾向を認め、特に移植後48時間での投与により生存期間の延長効果が強いことが明らかとなった。移植後7日目に移植肢より各種臓器を採取し組織学的に検討を行ったところ、vehicle群にて確認された単核球浸潤や細胞の壊死、線維化を伴う組織拒絶所見が、CTLA4Ig投与群で抑制されていた。これらの結果から、同種肢移植モデルに対するCTLA4Ig単回投与により、他臓器同様に短期的な拒絶反応の抑制効果があることが明らかとなった。拒絶反応抑制効果におけるCTLA4Igの容量依存性を検討するために投与量を変えた群での検討を、また持続的に蛋白を作用させるためにウイルスベクターを用いた群での検討を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究目標は、1)ラット同種肢移植モデルの作製・移植後評価方法の確立、2)CTLA4Ig蛋白の精製・および同種移植モデルへの投与による拒絶反応の抑制効果の判定、であるが、一部評価が完了していない部分があるものの、CTLA4Igによる同種肢移植モデルに対する拒絶反応抑制効果が明らかとなり、おおむね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方向性としては、同種肢移植モデルにおいてもCTLA4Ig単独での免疫抑制が困難であることが、他の臓器同様に明らかとなったが、アデノウイスルを用いてCTLA4Igを高用量発現させることにより同種肢移植の拒絶反応の抑制に対する有効性を評価していく。また、別の補助シグナルであるICOS(inducible co-stimulator)/B7RP-1系のブロック効果を持つICOSIg蛋白の投与またはCTLA4Igとの併用投与により、同種肢移植の拒絶反応の抑制に対する有効性を評価していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の未使用分については、当初予定していた消耗品の購入の必要がなくなったため、未使用額が生じた。引き続き平成24年度の消耗品(薬品・実験用動物・動物管理費用・手術材料など)購入および学会出張旅費などに使用する予定である。
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