2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592179
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
阿江 啓介 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (20376726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座教員 (20401391)
大川 淳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30251507)
|
Keywords | 骨補填材 / 注入硬化型 |
Research Abstract |
【目的】吸収性の骨補填材料であるハイドロキシアパタイトコラーゲン複合体(HAp/Col)の顆粒とリン酸カルシウムセメント(CPC)を併用することで、強度と生体吸収性を両立する注入硬化型骨補填材を開発することを最終目的とし、その混和条件による力学的強度、生体吸収性、骨形成能に対する影響を検討した。【方法】実験1: HAp/Col顆粒(0.32g、粒径0.84-1.0 or 0.12-0.59mm)とCPC粉剤(1.12 or 0.64 g)を混合し、適量の液剤を加えて直径6mmの円筒状に硬化させ、さらに擬似体液中に浸漬し37℃で24時間静置し硬化を完了させた。完成した硬化体は圧縮試験で強度評価を行った。実験2:作製した硬化体を日本白色家兎の大腿骨内顆部に移植し、経時的にレントゲン評価を行い移植後12週に摘出し、マイクロCT評価および組織学的評価を行った。【結果】実験1:4種類の複合体の圧縮強度は3.97~6.07MPaでCPCのみで作製した材料の45.30MPaには及ばなかったものの、海綿骨に近い圧縮強度が得られた。なおHAp/Col顆粒径が大きく、粉剤が多い方が強度が高くなる傾向がみられた。実験2: CPC粉剤が少なく顆粒径の小さいHAp/Colを用いたインプラントで吸収による表面の陥凹が顕著であった。また、内部ではHAp/Col顆粒の周囲に破骨細胞浸潤、血管増生といった骨吸収像が観察された。 【考察】HAp/Colの顆粒径が小さくCPCの割合が少ないほど吸収性は良好であるが、力学的強度は劣る傾向がみられ、十分な力学的強度を備えるにはHAp/Col顆粒とCPCの混合条件のさらなる検討が必要と考えられた。今回は硬化体での評価を行ったが、今後は注入可能なペースト状での移植を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来より存在する素材を用いて、注入可能で硬化する骨補填材の開発ができた。また、実際に移植した際の有効性、吸収性も確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は、移植後12週までの生体内での評価が済んでいるが、本研究では、より長時間をかけて緩慢に吸収される骨補填材を想定している。そのため今後は、より長期間での生体内での評価を実施する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
長期評価のための移植実験、評価を行うため、主に実験動物の購入費、飼育費および組織学的評価に使用する消耗品などに使用する。また、関連学会において成果を発表する際の宿泊費、交通費などに使用する。
|