2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒアルロン酸ネットワークをターゲットとした新規骨転移保存的治療法の開発
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23592181
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑紫 聡 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座講師 (90378109)
浦川 浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60584753)
新井 英介 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40612841)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 骨転移 / ヒアルロン酸 / 保存的治療 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
MDA-MB231ヒト乳がん細胞株、Lewisマウス肺がん細胞株を用いて、マウス脛骨骨転移モデルを作製。ヒアルロン酸合成阻害剤である4-Methylumbelliferone (4-MU)の投与により、骨転移巣の進展が抑制されることを明らかにした(Urakawa, Nishida et al, Int J Cancer. 2012)。またヒアルロン酸オリゴ糖により内因性のヒアルロン酸が抑制され、乳がん骨転移巣の進展が抑制されることを明らかにした。これらは腫瘍自体に対する効果だけではなく間質細胞に対する効果も介していることを明らかにした(Urakawa, Nishida et al, J Orthop Res 2012)。4-MUの抗がん骨転移効果を示すメカニズムとして、ヒト肺がん細胞のin vitro実験により、ヒアルロン酸、CD44、アクチン、アクチンーCD44間でシグナルを伝達されるとされるERM familyの1つであるエズリンの局在を解析した。CD44、エズリン、アクチンの共局在化が4-MUにより破綻されることを明らかにした(二村ら、 2012年アメリカ整形外科学会で口演発表)。これらの研究成果全体を2012年国際結合組織腫瘍学会にて口演、報告した(西田)。 また4-MUの抗骨転移進展効果を、既存の骨転移治療薬であるゾレドロン酸の効果と比較、検討した。マウス肺がん細胞株において4-MUの非劣性が示され、また共投与により相加効果を示すことが明らかとなった(二村ら、 2012年アメリカ整形外科学会で口演発表)。 これらの成果はすでに我々が骨転移治療薬として特許出現している4-MU(特願2010-1065:平成22年1月6日)の効果を証明するものであり、臨床応用への基礎データが確立された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の(2)に記載されている研究期間内に明らかにすること、の中で(1)骨転移における骨組織構成細胞間ネットワークとヒアルロン酸を中心としたマトリックス分子の関連については間質細胞と腫瘍細胞におけるヒアルロン酸の産生・局在とその抑制効果を明らかにし、(3) 各種ヒアルロン酸制御法による骨転移病変に対する治療効果の解析、については4-MUのがん骨転移抑制効果、ヒアルロン酸オリゴ糖による抑制効果を明らかにし、論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ヒアルロン酸ネットワーク制御による骨転移抑制効果の検討を継続4-MU、ヒアルロン酸オリゴ糖による骨転移抑制効果について、既存の治療法である放射線治療、抗がん剤治療と併用することによる相加・相乗効果について検討を進める。(2)骨転移巣におけるオステオネットワーク、ヒアルロン酸ネットワークに着目した特異的分子発現とその役割の解析皮下腫瘍および骨転移病変における遺伝子、タンパク発現パターンをマイクロアレイおよびプロテオミクスにて解析し、発現・役割の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)ヒアルロン酸ネットワーク制御による骨転移抑制効果の検討を継続については細胞株、マウスを使用したin vitro, in vivo実験を進めるため動物・実験試薬に研究費を継続使用する。(2)骨転移巣におけるオステオネットワーク、ヒアルロン酸ネットワークに着目した特異的分子発現とその役割の解析についてはアレイ解析、タンパク発現解析に研究費を継続使用する。これらの研究成果の発表(学会、論文)も継続して実施する。
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