2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592185
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 潤一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20543490)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 整形外科学 / 骨折 / 医療画像解析 |
Research Abstract |
当初の研究予定どおり、(1)3次元的変形量の計算方法の確立(2)基準座標系設定方法の確立(3)変形評価方法を確立することで、骨折変形治癒に対する3次元的定量解析システムを開発し、その手法を確立させた。本システムの具体的内容は以下のとおりである。 両側の対象骨のCTデータから、断層画像に対して関心領域を指定し、サーフェスデータを作成する。作成した健側サーフェスデータから鏡像データを作成し、これを患側本来の正常な形状であると考える。次に、患側データの変形していない部分を基準側、変形している部分を変形側とし、健側データを患側データの基準側に重ね合わせる。この操作は、ICP(Iterative Closest Point)を用いた、コンピュータ・ソフトウェアによるレジストレーションを行う。基準側重ね合わせの結果は、移動を表すマトリックス(変換行列)の形で表すことができる。次に、求められた罹患骨の3次元的変形量を3要素に分配するための基準座標系を設定する。力学的に慣性モーメントが最小となる軸=慣性主軸を骨軸として求め、原点を、この軸上で対象骨と交わる両端の2点の中点として求める。残る2軸を原点から骨軸に直行する軸として求め、この基準軸を用いて、屈伸方向、内外反方向、回旋方向の3要素に分配して、それぞれの変形角度として表現する。これは、基準座標系と原点を共有する座標系の空間中の姿勢を基準座標系から座標軸まわりの回転を繰り返すことで表すEuler Angle法を用いて行うことで行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りのシステム開発が達成でき、成果は日本整形外科学会基礎学術集会、日本肘関節学会、The 23rd congress of the European Society for surgery of the shoulder and the elbowで発表した。また積極的に英文論文を投稿し、本年度は7編が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
骨折変形治癒に対する3次元的定量解析を行う。骨折変形治癒の患者のCTデータをマテリアルとして用いる。これらの変形解析処理は、平成23年度で確立した手法(3次元シミュレーションを行うコンピュータープログラム)で行う。これにより過去に明らかでなかった3次元変形パターンを解明することができる。変形情報のデータベースを作成、SPSSソフトウェアを用いて統計解析を行い、それぞれの骨・骨折部位に応じた変形パターンを調べる。変形パターンと骨折部位との関係(特に解剖学的に重要な靭帯や筋肉の付着部位との関係)を明らかにすることで、骨折後に変形が生じるメカニズムを解明する。診療時に随時集計している症例データベースを利用して、変形パターンと臨床データ(評価時年齢、関節可動域、評価時の機能評価(日本整形外科学会スコア)、X線学的所見)との関係を調査する。特にX線学的所見については、各骨の形状より2次元(X線)と3次元評価(本手法)では異なる結果が生じる可能性がある。X線評価の正確さ、限界などを明らかにし、どのような場合に3次元評価を行う必要があるか等につき検討する。また症例データベースに欠落がある場合は、必要に応じて診療記録の再調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は最新のコンピューター技術を扱ってプログラム開発を行っている。大容量画像データ処理に最新式の高スペックワークステーションを要し、各種開発用ソフトウェアは年ごとのアップデートを要するため、その費用が必要である。精度予備調査のために実際の対象となるヒト乾燥骨30本/年を使用する。正常骨モデル作成のための正常人CTデータ取得に際してボランティア謝金を、精度調査、臨床応用で必要となるCT撮影提携施設への施設料を支出する。また積極的に学会発表を行って研究成果の公表に努め、国内1回・海外1回以上/年の学会発表と3論文以上/年の英文学術誌投稿を行う。それに伴う、交通費、英文校正費用などが必要である。会議プログラム・抄録冊子、患者説明用パンフレット作成のための印刷費用も要する見込みである。
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Research Products
(19 results)