2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脂肪組織由来幹細胞を用いた新たな骨格筋再生療法の開発
Project/Area Number |
23592188
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横田 和典 広島大学, 大学病院, 教授 (20403529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
亀井 直輔 広島大学, 大学病院, 病院助教 (70444685)
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / 骨格筋再生 / 骨格筋損傷 / 骨格筋萎縮 |
Research Abstract |
本研究では、特殊な条件の酵素と遠心分離(Celution)によって単離した脂肪組織由来再生細胞(adipose-derived regenerative cell: ADRC)を移植した際の筋再生促進効果について明らかにすることを目的とした。ヒト皮下脂肪組織よりCelution を用いてADRCを単離した。9週齢雌ヌードラットの前脛骨筋の損傷モデルに対して、ADRCを損傷部に注入した(ADRC群)とヒト単核球を投与した群(MNC群)とPBSのみを損傷部に注入した群(PBS群)を作製し、筋収縮力評価および組織学的評価を行った。ADRC群では損傷後1週および4週において、MNC群やPBS群と比べて筋収縮力が有意に大きく、組織学的評価では、新生血管と再生筋を多く認め、瘢痕形成が有意に縮小されていた。損傷部に血管内皮細胞や筋芽細胞への分化が示唆されたADRCを認めたが、筋の再生範囲に比べると、その数は非常に少なかったことから、筋修復促進効果は主にパラクライン効果を介したものと推測された。その後、脛骨・腓骨神経の分岐部より中枢5mmの位置で坐骨神経を切離し、denervationすることで、前脛骨筋を萎縮させる「筋萎縮モデル」を作製し、ADRCの移植治療実験を行ったが、筋収縮力評価および組織学的評価において、筋萎縮を改善させるには至らなかった。これは、坐骨神経をdenervationして神経機能を完全に欠損させてしまったためと考えられ、筋萎縮に対する治療実験には別の筋萎縮モデルを確立させる必要があると考えられる。
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