2011 Fiscal Year Research-status Report
再生医療技術を応用した四肢の拘縮性偽関節の治療に関する研究
Project/Area Number |
23592198
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
面川 庄平 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70597103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30316070)
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40326327)
和田 卓郎 札幌医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00244369)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大腿骨偽関節 / 細胞シート / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
7週齢Fischer344 ラットの大腿骨から骨髄を採取し、標準培地を用いて初期培養しMSCsを採取した後、10cm径培養皿に播種する。デキサメサゾン、アスコルビン酸添加標準培地で二次培養(14日間)を行い、骨芽細胞シートを採取する一方でMSCsを標準培地のみで継代培養した。これらの細胞を11~14週齢(体重;240~300g)の同系ラットに作製した大腿骨偽関節モデルに注入した。(本研究では下腿骨の偽関節モデルを大腿骨の偽関節モデルに変更した。)偽関節モデルは、大腿骨の転子部から顆部に至る領域で骨膜および骨髄を除去し、骨折部をK-wire(径0.8mm)で固定し作製した。細胞の注入は、閉創6時間後に創部とは異なる部位から注射器を用いて行った。骨芽細胞シートを注入する群(S群)、MSCs(Passage2)を注入する群(C群)(各群n=24)の二群を作製し、骨切り部をX線画像、μCT、組織像、三点曲げ試験により最大曲げ荷重を計測した。結果は、S群ではX線画像で術後2週から注入した骨芽細胞シートの石灰化を認め、術後12週までに全例で骨癒合を認めた。C群では、X線画像、μCTで仮骨形成を認めるものの、術後12週まで骨癒合を認めなかった。また組織像では、S群で骨折部の架橋形成を認めたのに対し、C群は骨折部の皮質骨が萎縮し線維性組織が介在していた。三点曲げ試験の最大曲げ荷重(N)は、術後12週でS群84.2±17.5N、C群9.48±11.6Nと両群で有意差を認め(p<0.05)、S群では術後4、8、12週としだいに最大曲げ荷重が増加する傾向を認めた。概要としては、皮質骨が一部dead boneとなるような移植床においても、骨芽細胞シートの注入によって骨癒合が得られたこと。したがって、骨形成能が低下しているような偽関節、骨壊死疾患に対して、注入型骨移植は応用が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画はほぼ遂行した。偽関節モデルに対する骨芽細胞シートの有用性を示すことができた。新鮮凍結屍体を用いた解剖学的研究では、3体を用いて検索を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った実験は、ラットの偽関節モデルに対して骨芽細胞シートによって偽関節を予防可能であったという実験である。さらに臨床に近づけるために、完成した偽関節に対して骨芽細胞シートの移植を行い、その有用性を調べるとともに、骨芽細胞シートに血管柄付筋膜脂肪組織(vascularized adipofascial flap)を添加することで、さらに偽関節の早期治療に有効であるかを実験的に検証する。新鮮凍結屍体を用いた解剖学的研究では、背側中手動静脈を血管柄とする筋膜脂肪組織がどの程度指節末梢まで到達可能かを検索するため、筋膜脂肪弁を挙上し逆行性に移行をおこない到達範囲を計測する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通り、消耗品費に800000円、研究打ち合わせ旅費150000円、成果発表に150000円を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)