2011 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来未分化間葉系細胞を用いた肩腱板断裂の非侵襲的治療の試み
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23592210
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松末 吉隆 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30209548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 晋二 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90283556)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腱板 / 修復 / 骨髄間葉系細胞 / サル |
Research Abstract |
近年、関節軟骨や半月板における比較的小さな傷は関節滑膜由来MSCによって自然修復されることが明らかにされている。我々はこれと同様に腱板損傷においても、小さな断裂は肩峰下滑液包由来のMSCによって修復されうるのではないか、との仮説に基づき、サル腱板組織に4mmと8mmの断裂モデルを作成し、断裂サイズによる修復過程の違いについて組織学的に検討した。4mmモデル、8mmモデルともに3週目では、炎症性肉芽組織の活発な増殖を腱板断裂部に認めた。6週目になると肉芽は瘢痕組織に置き換わっていたが、4mmモデルでは瘢痕組織内を横走して断裂部を架橋する線維が多数認められたが、8mmモデルでは断裂部は開大し、これを架橋する線維はほとんどみられなかった。12週目になると、4mmモデルでは瘢痕組織による断裂腱板の修復がみられたが、8mmモデルでは先細った、線維走行の一定しない不良瘢痕が介在していた。24週目になると4週モデルでは架橋瘢痕のリモデリングが進み、断裂部は修復されていた。8mmモデルでは、再断裂した。以上の予備実験の結果を踏まえて、自然修復しない腱板断裂のcritical sizeは8mmモデルとし、これに骨孔作成し、骨髄との交通を確立することで骨髄由来MSCが腱板修復に参加できるようにした実験群とsham手術したコントロール群を作成し、その修復過程を組織学的に評価した。その結果、3週目実験群では、コントロール群に比べて著明な炎症性肉芽組織の増殖を認めた。6週目実験群では、瘢痕組織内を横走して断裂部を架橋する線維が多数認められた。12週目実験群では、瘢痕組織による断裂腱板の修復がみられた。24週目になると架橋瘢痕のリモデリングが進み、断裂部は修復されており、再断裂は一例も認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4mm腱板断裂モデルが自然修復するのは、肩峰下滑液包由来MSCによる断裂腱板の修復反応が十分であったためである。これに対して、自然修復しない8mmモデルでは肩峰下滑液包由来MSCが不足する為に断裂腱板が自然修復されない。これに対して骨孔作成により骨髄由来MSCが供給されると8mmモデルでも修復されることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
自然修復しないcritical sizeの腱板断裂モデルである8mmモデルに種々の濃度の骨髄由来MSC準備液を注射注入することで断裂腱板の修復を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞の分裂能を検査するBrdU等組織化学関連試薬、骨髄由来MSC準備液を作成する為のフローサイトメトリー試薬、腱板修復部状態を調べる抗I型、III型コラーゲン抗体など免疫組織化学試薬、そして動物代(サル)に使用予定である。また、研究実績発表の為の旅費にも一部使用予定である。
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