2011 Fiscal Year Research-status Report
膝関節骨軟骨移植術における光学的断層像による軟骨イメージングの試み
Project/Area Number |
23592211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 雅彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20378623)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | OCT / cartilage / repair |
Research Abstract |
【目的】Optical coherence tomography(OCT)は光の干渉波を用いた画像診断装置で、高解像度で非侵襲的に組織学的診断を可能にするものである。自家骨軟骨柱移植術は軟骨損傷や骨壊死などの疾患に対して行われている手術法であるが、術後の骨軟骨柱の非侵襲的な評価を行う目的にOCTを用いることが可能かを調査した。【方法】日本白色家兎の左膝のpatellar grooveからφ6mmの骨軟骨柱を採取し、これを右膝のpatellar grooveに作成したφ5mmの骨軟骨欠損部に移植した。術後2週、4週、8週、16週(N=4-5)で家兎を安楽死させて右大腿骨遠位部を採取した。肉眼的評価としてICRS Visual Histological Assessment Scaleを用いた。Thorlab社Swept Source OCT systemを用いて骨軟骨移植部のOCTによる評価を行った。OCT画像上、特徴的な縞模様を呈するものをbirefringenceありとした。組織学的評価としてHaematoxylin-Eosin染色、Safranin-O染色を行った。【結果】OCTにより移植骨軟骨柱の経時的な変性を描出することができた。また移植骨軟骨柱と周囲の正常部との間の癒合状態を捉えることができた。birefringence有群では、無群に比較して、ICRS scaleが良好であった。【考察】OCTを関節鏡に組み込むことにより自家骨軟骨柱移植術の経過観察において肉眼的所見では得られない軟骨深部の状態を非侵襲的に観察できる可能性が示唆された。今後はさらにN数を増やして、統計的評価を詳細に施行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最初の2年間で、膝関節軟骨損傷(変性)に対する骨軟骨移植術をモデルとして、関節軟骨の質的評価を、OCTによる方法を用いて行い、この結果を組織像と対比し、比較検討を行う予定であった。 特に初年度は動物実験を主として行い、家兎膝関節滑車部に作成した骨軟骨欠損に対側の滑車部から骨軟骨柱を移植し骨軟骨移植術モデルとし、初年度の後半より、家兎を安楽死させ、移植骨軟骨柱の軟骨及びその周辺軟骨のOCT画像を得ることとしていた。 平成23年度において、2,4,8,16週と手術後継時的にN=4~5羽ずつ、安楽死させて、それぞれのOCT画像を撮像することが可能であった。さらに、一部の標本において、HE染色やSafranin-O染色を行うことができて、研究計画よりもやや進んだ進捗状況で来ている。このため、実験目的の達成度としては良好といわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、2年目では、関節軟骨組織像を作成して、移植軟骨の性状をscoringし、OCT画像と比較検討する予定であった。現在、HE染色、Safranin染色を精力的に行い、組織学的スコアリングをMankin scoreやICRS scoreでおこない、これをOCT画像と対比させていく予定である。さらに、OCT画像の評価方法として、画像解析ソフトを用いて、birefringenceを定量的に評価する方策を見出し、これと組織学的検索から得られる、コラーゲンの配向性とマッチングさせていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、組織学的検索が主となるために、染色液や固定液などの薬液・試薬などに主として研究費がかかり、また、動物飼育代も前年度よりはかなり少ないが必要となる見込みである。そして、研究成果を国内学会、次いで国際学会で発表するために、旅費を計上している。成果の論文作成のために、印刷代も計上している。
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