2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)siRNAの遺伝子導入による関節炎治療
Project/Area Number |
23592215
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 圭一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80284058)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 俊孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50194262)
川畑 智子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90600669)
|
Keywords | 関節炎 / エピジェネティクス / 遺伝子導入 / 抗コラーゲン抗体誘導関節炎 / ヒストン脱アセチル化酵素 / lipofecton法 |
Research Abstract |
本研究では、HDAC1に標的を絞り、siRNAの膝関節投与およびエレクトロポレーションを用いた遺伝子導入による局所治療を試みた。DBA/1 マウス (雌、7 週齡)抗II型コラーゲン抗体カクテルとLPSを投与して抗コラーゲン抗体誘導関節炎を誘導した。次に最も導入効率の高かったsiRNA 800pmolとsiPORT Amine 10 ml の複合体を、マウス両膝関節内に投与後、 electroporation法 (CUY21 electric pulse generator, 30V /cm2)を用いて導入した。治療群にはsiHdac1を非治療群にはnon specificsiRNAを投与し、コントロールは関節炎導入のみとした。関節炎導入日を0日目として、siHdac1の投与は5日目と10日目に行った。関節炎導入後14日目に両膝関節を摘出し、右膝は組織切片を作成し、 Mukherjeeの評価法(滑膜増殖、パンヌス形成、びらん、関節破壊で0から5点で評価し、平均値を総合評価として使用)を用いた関節炎の組織学的評価とHdac1の発現量の評価に使用した。 体重や関節炎の臨床評価には差は認めず、全身の関節炎に関する治療効果は認めなかった。一方で摘出した左膝関節の滑膜組織から採取したmRNAでは治療群ではHdac1の遺伝子発現が減少していた。組織像(HE染色)では、コントロール、非治療群では炎症細胞の浸潤を伴う滑膜細胞の増殖、パンヌスの形成を認めたが、治療群では、滑膜増殖は著明に抑制され、パンヌス形成は認めなかった。関節炎評価は治療群で有意に低値であった。Hdac1の免疫染色では、コントロール、非治療群でHdac1の発現を認めたが、治療群ではHdac1の発現を認めなかった。滑膜組織から単離した滑膜線維芽細胞の炎症性サイトカイン産生能には治療群とコントロール群で差を認めなかった。HDAC1 siRNAの導入による関節破壊抑制効果は滑膜細胞の増殖抑制に起因する可能性が示唆された。本研究ではHDAC1を標的としたin vivo遺伝子導入により局所関節において滑膜炎の制御が可能であることを示した。
|